青さんの短編集 jump × in

苦い甘い甘い Ym ページ16

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付き合う歴が長くなると
愛を伝えることも少なくなるし、扱いも多少雑になるのは仕方の無いことだ。

でも、でも、


｢涼介！僕、面白いソフト買ったから家に行っていい？！｣



そんな会話にも耳を塞ぎたくなる。
彼の返事は大体予想がつく。


｢お！まじで？！来てきて！！｣


山田さん、あなたの家は俺の家でしょ？
心の中で返事をしても外に出るのは小さなため息だけ。



俺と山田は2年前から付き合っている。
しかも同棲中だ。

でも俺から告ったし、メンバーだからって気を使って付き合ってくれているのかもしれないな、って最近思い始めたんだ




…スマホの通知音がなる


｢今日知念と遊ぶから、ホテルで｣


その下には山田が予約したのであろう
ホテルの地図と写真。

ろくに内容を見ず電源を切る。


いつものことだ。
付き合って貰ってるのだから怒る権利もない。



ちょっとした反抗として
音を立ててスマホを机に置く。

ピクリと震える山田を見ながら
いい気味だと心の中で笑っては

｢大ちゃーん｣


すりすりと、大ちゃんに寄り添う


これも反抗だよ、ちょっとしたいじわるだよ。

ちょっと、ほんの少しだけ
俺を見て、少しだけ嫉妬してくれればそれでいい。




｢次の撮影は伊野尾さんと山田さんです。｣


いつもは胸の高鳴るこの報告も
ただの音に聞こえるほど、今の俺の心には潤いがない。

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