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のそのそ…
伊野ちゃんは、毎日
こちらにむかって歩いてきてはハグをする。
いつもは疲れてたり、不機嫌なときしか
こないのに、
なぜか今日はにこにこしてて、
「ちねーん」
いつもみたいに甘く僕を呼ぶ。
いつもみたいにハグをして
いつもみたいに……
違う、
うるうるの瞳がこちらを見つめて、視線が絡まって離れない
不覚にも唇が目に入る。
薄いさくら色でぷっくりとした唇、
そこに伊野ちゃんの舌が沿うように動いて
てかてかと光る。
だんだん顔が近づいてきて
じわりと手汗が滲む。
…キスがくる、あの唇が僕の唇に触れるかもしれない
すると、近かった顔はすっと離れていき
にこりと伊野ちゃんが笑う。
「……ちねん、!!
なんで逃げないのさ!!!!俺、男なんだけど?!」
「へ??」
まって、頭が働かない
「あんなに大ちゃんのキス嫌なんだから
嫌がられるかなって、俺、驚かせようとしたのに!!」
すると
「ごめんね」
そういってまた離れていく。
メンバーのところへひらひらと舞っていく。
「、まって」
勘違いは消せなかったよ。
勘違いから、気持ちに気づいちゃったんだ。
いい加減な勘違いのせいで
僕はあっけなく、恋に落ちたんだ。
背を向けて歩きだす伊野ちゃんの手首を
掴んで、振り向かせる。
僕に恋をさせて
僕を本気にさせたのは、伊野ちゃんなんだからね。
「責任、とってよ」
愛おしい、さくら色の唇に
自ら唇をくっつけた。
勘違いは消せない Cn … fin
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作者名:しゃん。 | 作成日時:2018年3月28日 23時