◉滝沢演舞場 ページ21
◇◇◇
2013年1月ー
メールで送られてきた演舞場の出演者一覧に私の名前があった。
私は出れないかもしれないと思っていたから、皆と一緒に舞台に上がれるのが嬉しい。
でも伝統芸能に私が出てもいいのだろうか…。
阿部「大丈夫？」
気がつけば隣に阿部ちゃん。メールの画面が見えたのか、一緒に出られるねと笑顔。
「私なんかが出ていいのでしょうか。その…女…だし…。」
阿部「滝沢くんが選んだんだから胸張って大丈夫。それに新橋演舞場自体は女性禁制じゃないから。」
「そっか。」
確かにダメだったら選ばれることはないか。阿部ちゃんの言葉にはすごく説得力があった。
◇◇◇
滝沢「A！ちょっといいか？」
「はい！」
レッスンを受けていたら滝沢さんに呼び出された。
滝沢「演舞場のことなんだけど。」
そう言って渡されたのは演目一覧(仮)。
滝沢「この赤い印がついてる演目に出てもらおうと思っている。」
「わかりました。」
滝沢「頼んだぞ。」
そう言うと滝沢さんはスタジオから出ていった。
伝統的な演目の部分は出演できないけれど、その他はメンバーと一緒に出られるみたい。
◇◇◇
稽古が本格的に始まったのは3月に入ってすぐ。
私は厳しい稽古になんとか喰らいつく日々を送っていた。
稽古はきついけど、毎日が充実していて楽しい。ふっかさんに言うと、お前ドMなの？と笑われた。
スタッフ「吹雪さんのはこちらです。」
「ありがとうございます。」
今日は衣装の確認。
名前が書かれたラックの前に立ち、着替えては出演者全員で並んだり動いたりして確認という作業の繰り返しだ。
本番もそうだけど、私もその場で着替える。見えてもいいようにスポーツ用の見せブラに黒のショートパンツの上から衣装を着る。
滝沢「いいね。」
和太鼓の衣装。下は他のメンバーと同じで上は胸が隠れるような衣装になっている。
滝沢「Aも違和感なくてOK。」
「ありがとうございます。」
滝沢さんのOKを貰い、次の衣装へ着替えた。
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作者名：雪 | 作成日時：2023年8月8日 19時
