すのうーまん⑭ (ページ25)

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［阿部 side］

阿部「また明日ね。」

「…うん。送ってくれてありがとう。おやすみ。」

阿部「おやすみ。」

いつも別れ際に寂しそうにするA。
俺も離れたくない、一緒にいたい…そう思うけど明日も仕事で…仕方が無いと自分に言い聞かせる。

エレベーターホールに行く前に手を振るAに振り返して姿が見えなくなったのを確認してから、俺はその場を後にした。

シャワーを浴びて寝る前に少しだけ勉強しようとデスクに座る。ふとAを思い出して、スマホを手にした。

「もしもし？」

阿部「俺だけど、電話しても大丈夫？」

「うん。マンガ読んでた。」

阿部「やっぱり。」

「バレてたか。」

阿部「バレてます。」

「私も分かるよ。亮平、勉強しようとしてたでしょ。」

阿部「正解。」

「…読みすぎ阻止ですか？」

阿部「わかってるじゃん。」

「電話来た瞬間、そんな気がしてた。」

阿部「流石。ということで時間決めよ？」

「はーい。」

何時までと時間を決めて、スマホは繋いだままお互い自分の時間に没頭する。
たまに耐えきれずに声に出る笑い声が可愛くて、俺の頬も緩んだ。

阿部「Aさーん。」

「時間だね。終わりましょうか。」

阿部「ですね。」

カサカサとマンガを片付けている音が聞こえる。

「お布団入りまーす。」

阿部「俺も。」

「おやすみ。」

阿部「おやすみ。」

「…切れないから切って？」

阿部「おやすみ。」

大好きだよ。と伝えればAからも返ってきて、寂しいけど通話を切った。