新たな… ページ6
お互いの大学の距離はそこまで遠くなかったのが幸いしたのか、私と彼方は結構な頻度で会っていた。
「A、大学どう?」
『割と楽しんでるよ。彼方は?』
こんな他愛ない会話も
「楽しいよ。ところでさ、最近どういう音楽聴いてる?」
『ニコニコって知ってる?』
「聴いたことは、ある」
人生を変えてしまうような会話も
『ボーカロイドっていうのがあるんだけど、最近それにハマってる』
「聴いてみる」
『ぜひ!』
色んな話をする時間があった。
ーーーーー
数日後。
彼方から大切な話があると聞いて、いつもより早めに来てしまった。いつもの飲み屋さんが、なんだか今日は特別に感じられた。話ってなんだろう?見当がつかなかった。
飲み屋に入ると、改まった様子の彼方がいた。
「あ、A、早かったね」
彼方は私を見つけると軽く手を振ってきて、そう言った。
『彼方だって早いじゃん』
「まあね」
『ところで、話ってなに?』
もう、どんな話でも驚かない。準備は出来ていた。多分。
「実は俺、歌い手やろうと思うんだよね。」
『ん?え、?今なんて?』
脆い誓いだったな、私。正直に驚いた。
「この間さ、A、ニコ動勧めてくれたでしょ?」
『はい、そうですね、勧めましたね』
「ボカロ聴いてたんだけど」
『うん』
「流れてきた。ボカロを肉声で歌ってる人達、歌い手さん達の歌っているのが。」
1から教えてくれてありがたいけど、私だってそれくらいは知っているし、歌い手さんの曲も割と聴く。いやそこではなくて。
『私も聴くから存じ上げておりますが、えっと?なんでやろうと思ったの?』
「やってみたかったから」
『そうか…。まさか彼方がやりたいって言い始めるとは思わなかった。』
友達が歌い手をやろうとしていることに驚いた。しかも彼方が。でも彼方の声は綺麗だし、歌も上手いし、合っていないと言えば嘘になる。
『でも、もちろん応援するよ。ファンになる!』
「本当?じゃあ、俺のファン1号はAだな」
『名前はどうするの?』
「いろいろ考えたんだけど…そらる、なんてどうかな」
『めっちゃ良いっすね、そらるさん』
こうして、私は彼方、否、歌い手・そらるのファン1号になった。
「ありがとう、A」
『当たり前でしょ!彼方は親友なんだから!』
「そっか、本当にありがとうね」
『うん!』
彼方はニコ動に歌ってみたを投稿し、どんどん人気になっていくのだった。
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真琉(プロフ) - 三日夜 雪璃さん» ありがとうございますm(_ _)m励みになります!! (2019年3月14日 12時) (レス) id: 12333a924c (このIDを非表示/違反報告)
三日夜 雪璃 - 続きたのしみにしてます! (2019年3月12日 20時) (レス) id: e3ad85cddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真琉 | 作成日時:2019年3月12日 9時