手を取って【稲荷崎】 (ページ15)

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練習を手伝ってくれた彼女の顔は
とても楽しそうにキラキラとしていた

彼女が野球部のマネージャーを辞めさせられた話を知っていた

元は侑が少し遅くに練習に来た日
アランに呼ばれて慌てて練習に来た事がある

その日、たまたま体育館の中を立ち止まって見ている彼女の姿を見つけた

寂しげに、悲しそうに見ていた彼女は直ぐに歩いていってしまったけれど

普段その時間は部活の時間であり
その日も野球部が練習しているのを知っていた為に疑問に思ってしまった

後日、同じクラスの野球部から話を聞けば後輩マネと部員の不祥事が原因で対策としてマネージャーを強制退部させられたと聞く

｢理不尽な話やな｣

なんも悪いことしてへんのにな

彼女の寂しげな顔の理由
なんとも理不尽な事だと彼女に同情してしまう

到底自分だったら納得出来るはずのない事
だから、あんなに悲しそうに見ていたのかと納得した

後日彼女が回覧板を持ってきた時
何か言おうと考えてはいたが、結局言えず帰ってしまった

真面目で優しい、気の利く彼女
野球部のマネージャーとしての彼女はとてもいい仕事をしているのを知っている

その為、マネージャーとしてこれ以上ない程いい人だろうにと思ってしまう

男子バレー部のマネージャーに居たらええのにな
なんて思いもあって

1年と一緒にビブスを運んできてくれた彼女を咄嗟に引き止めた

頼んだ事を嫌な顔せず引き受けて
しまいには頼んでいない事も率先してしてくれる

その時の顔はほんとに楽しそうで
優しい笑みを浮かべている

｢根っからのマネージャーさんなんやな｣

ぽつりと呟いた言葉を聞いていたアランは理解したのか、あ…と納得している

良くしてくれた事に感謝しても大したことじゃないと言う彼女は自信なさげだが、ほんとに助かったわけで

見つからないマネージャー候補にAさんはとても勿体ないだろうか？

なんて思いながらも、彼女が楽しそうにマネージャーをする姿をまた見てみたいと思い

｢また、手伝い頼んでもええか？｣

と言っていた

Aさんだから頼めることだろうと思いながら彼女にお願いしてみよう

男子バレー部のマネージャーになりたいと思ってくれたらええな…なんて思いながら

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