新聞の1面、王太子は野球の道へ? ページ1
「もう、覚悟は決めたんだ!!!!!」
体の倍ほどもある大きなドアをドンッと開け、
この国のまだ幼い王太子、
哲は最高級のバット、グローブを持って父である王を睨みつけた。
服は燕尾服。
どうやら今日の名家たちを集めたパーティは彼にとって苦痛だったみたいだ。
「待て待て、そう急ぐことでもあるまい。」
「間に合わねぇよ!もう同小の奴らはリトルリーグで活躍してるんだから!」
哲は精一杯叫んだ。
この頭の硬い王はどうしても可愛い王太子が野球の道に進むのを許す気は無いらしい。
温室育ちでぬくぬく育ってきた人間には、ハングリー精神だとか、闘争心たというものを無くしてしまうのかもしれない。
「いいから。部屋に帰りなさい。」
王が優しく諭すも、哲は頑として認めない。
哲はしばし沈黙してから、
「いいよ!こんな家。出てってやる!」
ガン!と大理石の床にバットを投げつけ、哲は飛び出していった。
国王はあえて追いかけなかったが、その理由は忙しいからだけではなく、少なからず、幼い頃の自分に重ねていたからなのかもしれない。
後に、その判断がとても重要な結末を生み出すことになるなんて、誰もが思わなかったことだろう。
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作者名:あやね | 作成日時:2016年2月26日 19時