21話 ページ27
〜幸side〜
兎に角最初は義勇を抱き締めた、安心して欲しくて、少しは肩の力を抜いて欲しくて、私や鱗滝さん、真菰も凄く凄く悲しくて仕方ないけれど、目の前で錆兎が死んでしまった義勇が一番辛いのではないかと思った
次第に肩が濡れて来て、ポソポソと話し始めてくれた
義「……錆兎が…護ってくれたんだ、俺を他の人を、俺は怖くて怖気付いている間に、次々と鬼を倒してッ…」
『…うんッ』
義「俺は何も出来なかったんだッ俺は怪我しちゃって、他の人に助けて貰ってばかりでッ…俺がッ俺が錆兎を助けるべきだったのにッ」
『そっかッ……辛かったね、頑張ったんだねッ大変だったねッ…』
義「錆兎じゃなくてッ…俺ッ…俺が…俺のせいでッッッ…俺がッ死ぬべきだっ『義勇…』ッ……」
『それは違う…違うよ』
義「……ッ…グスッ…だってッッッ!!だってッ!!!」
『錆兎が戻って来れなかったのは凄く、凄く悲しい…私も鱗滝さんも真菰も…でも義勇のせいで錆兎が死んだなんて思ってないし絶対思わないんだよ…それに俺が死ねばよかったなんて言わないでッ…』
義「ッ…!!」
『錆兎も義勇も大切な大切な家族なの…私達に家族をこれ以上失わせないでッ…』
義「ごめんなさいッ…ごめッ…ごめんなさいッッッ!!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁんッ…!!」
この後暫く義勇は泣き続けて、泣き続けて…泣き疲れて眠ってしまった、最終選別の時の疲れも一気に押し寄せてきたのだろう
今はゆっくりと身体を、そして心を休めて欲しい
┈┈┈┈┈
『先生、真菰、義勇は疲れてしまったのか寝てしまいました』
鱗「そうか…」
『…真菰、おいで』
今度はゆっくり歩いてきてそっと私に抱き着いた
真「錆兎が…錆兎が戻ってこないなんて思わなかったの」
『うん…』
真「義勇と錆兎が少し怪我をしながらお互い笑いあって支え合いながら、フラフラ疲れきって帰ってくると思ったの…」
『ッうん…』
真「また皆でご飯を食べれると思ったのッ…任務に行くまで姉さんの時みたいに鍛錬できると思ってたのッ…」
『うん……』
真「でも…錆兎は帰ってこなかったの、死んじゃったのッ」
『そうだねッ…辛いね、悲しいねッまたいつも通りの明日を、新しい一日を過ごせるはずだったのにねッ…』
真「ッ…先生は、姉さんは、義勇は死なないでッ私を置いていかないでッッ…」
『置いていかないよッ…ねえ?先生も』
鱗「嗚呼、儂を置いていってくれるな…」
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作者名:朔 | 作成日時:2021年11月28日 21時