6話 ページ12
〜幸side〜
山を下ったあの日から2週間が経った
怪我は1週間程前にすっかり治り、厳しい修行が始まった
元々体力があるといっても隊士になるにはまだまだ体力は少ないらしく、只管罠の張り巡らされた山を下り体力の向上に努めた
もう何回山を下ったのか両手両足の指を使っても数え切れなくなり、回数を数えることをやめた
二月も経つと最初の頃より上手く動けるようになったしつまずくことも無くなった、罠を避けられるようにもなってきた
体力が向上したのもあるが、集中力と感がぐっと伸びた
少しくらい小さな音だったら聞き取れるようにもなった
それでも、それらを尽く捩じ伏せるかの様に罠の難易度は上がる
もしかしたら知らぬ間に鱗滝さんの気に触る様な事をして怒らせたのかもしれない…罠の難易度がとてつもない、殺す気満々の罠なんだもの…
修行の途中で命を落としても自分の選択に後悔はしないと啖呵をきったものの本当に死ぬのではないだろうか
もしや死なない為の鍛錬ではなく殺される為の鍛錬だった……??
いやそんなわけない断じて無い、無いったら無い…。きっと…
そんな事を呟いていたら錆兎や真菰に笑われた
錆兎と真菰といえば最初、錆兎とはギクシャクしたものの2人と直ぐに打ち解けることが出来た今では姉さん、と呼んでくれる様になった、2人は孤児だったところを鱗滝さんが引き取り育ててくれているらしい
錆兎からはあまり聞かないが2人は鱗滝さんが大好きだと言う
私も大好きだ、鍛錬は厳しいけど、頑張ると頭を優しく撫でてくれるし特別頑張った日には私達に美味しいご飯を作ってくれる
辛い事だって沢山あったけど、鱗滝さんに出会えて、助けて貰えて本当に幸運だった
┈┈┈┈┈
修行を初めて半年が経った頃、冨岡義勇という男の子が来た
錆兎と同い年らしいその子は、鱗滝さんの話によると両親は既に病死し、お姉さんと二人暮しをしていたがそのお姉さんが鬼に襲われ殺されてしまったらしい
その経緯を周囲の人に信じて貰えず精神病とされ医者をやっている親戚の元へ行く途中に逃げ出したらしい
その途中山で遭難した所をいつも殺意満々な「”鍛錬の為”」の罠を、もう一度言うが「”鍛錬の為”」の罠を仕掛けてくれる知り合いの猟師が発見し鱗滝さんの元へ来たという
義勇もここへ来て暫く経った頃、亡くしたお姉さんを思い出してしまうだろうに私の事を姉さんと呼んでくれる
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作者名:朔 | 作成日時:2021年11月28日 21時