ハチミツイロ＿＿Reo (ページ32)

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先輩、千葉に行くんだって。

親の仕事で、ずっと前から決まってたんだって。

嫌な予感、当たった。

．

千葉なんて、言うほど遠くない。

って言っても、そんな簡単に会える距離でもない。

一瞬頭の中真っ白になったけど

その時に思い出したのは、隼の言葉

＿＿＿＿＿” 俺も来年そこ行けばいいし ”

…そうだ、まだ終わったわけじゃない。

隼と香澄先輩みたいに

特別な繋がりがあるわけじゃないけど

俺にだって、まだチャンスはあるだろって

．

『…会えなくなりますね』

A『…うん… ごめんね、なかなか言いだせなくて…』

『全然、直前とかじゃないし、大丈夫っすよ笑』

A『…でも、結構前から決まってたことだから…』

『じゃあ、ずっと言わなかったのは…

少しでも寂しいって思ってくれたからですか？』

…なんて、冗談っぽく笑ってみせたけど

A先輩、悲しい顔したままで

A『…寂しいよ、そりゃあ…』

いちごオレの缶、両手で握りしめて俯いた。

…ねえ、もう

抱きしめちゃだめ？

俺のために、そんな顔するなんて

ずるいよ。

俺バカだから、そんな顔されたら勘違いするよ？

こんなに好きなのは、俺だけなのに

…ずるい

…でも

そんなのどうでもよくなるくらい

嬉しくて… 俺は

『嬉しいっす』

なんてまた笑ってしまうから

きっとA先輩は、気付いてない

本当は悔しくてたまらないこと

こんな時でも、

なんで俺のものになってくれないんだよなんて考えてる

優しくない男だってことも

．

A『玲於は、素直で優しいね』

．

綺麗なハチミツ色の目に

涙が溢れて、こぼれた。

．

好きな人の涙が

こんなに苦しいなんて

俺は知らなかった。

．