線香花火。＿＿Reo (ページ7)

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至近距離で見つめると

恥ずかしそうに顔を背けるA

…懐かしいな

恥ずかしがり屋なAは

少し距離が近付いただけですぐ顔赤くしてた。

そんなAが、どうしようもなく可愛くて

よくからかってたっけ

「A… 今、幸せ？」

肩くらいの長さまでゆるく巻かれた髪

触れたい気持ちを抑えてそう聞くと

Aは小さく頷いて

A「幸せ… だよ、」

照れたように呟いた

その言葉にきっと、嘘はない

寂しい思いをしても

それでも幸せって思えるくらい

相手はいい人なんだろうな

A「…でもね」

Aは俺を見上げて

困ったように眉を下げた

A「私も、玲於に… 会いたかったよ…」

今にも泣き出しそうなAの声に

また、抱きしめたい気持ちが溢れる

「…ごめん」

あの頃、連絡取り合わなくなったのは俺からで

それは全部、Aのためで。

Aが寂しい思いをすることは分かってた。

でも、頭の悪い俺には

そうする以外に方法が分からなかった。

A「ううん、会えたから… いい。

…嬉しい、玲於とまた、こうやって話せて」

切なく笑ったAは

ゆっくりと手を伸ばして

俺の左手に触れた

何を言う訳でもなく、黙ったまま

ただ遠慮がちに握ってくるAの右手

それだけで、愛しくて

あの頃、心のずっと奥に閉じ込めた気持ちが

あふれだして、こぼれる

．