線香花火。＿＿Reo (ページ36)

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少しして戻って来たAは

ごめんね、って苦笑いしながら

また俺の前に座った

時計見たら10時過ぎてて

終電まだだし、俺明日は昼からだけど

さすがに毎日こんな時間に帰したらまずいし

「…そろそろ帰るか、A明日も仕事？」

A「私は休み」

「え、まじ？じゃあもう少しいれる？」

A「私は大丈夫だけど… 玲於明日は仕事でしょ？」

「うん、でも昼からだから。じゃあ家の近くまで送ってくわ」

A「え、歩きで？」

「うん。大丈夫っしょ、人通り少ないし」

Aは歩いて帰るって言うだろうから

どっちにしろこの時間に一人で外歩かせらんないし

…なんてのはただの口実でしかないんだけど。

外に出たら、ちらほら人がいて

まあでも、暗いし

キャップ被ってれば気付かれないだろう

Aが隣を歩いてる

この感じがなんか懐かしくて、色々思い出した。

高校の頃、よくチャリで一緒に帰ったこととか

最初で最後に二人乗りしたこととか

A「…なんか変な感じ、」

少しだけ距離を取って歩いてるAが嫌で

その腕を掴んで、軽く引き寄せて

手のひらをそっと合わせて、握った。

俺の顔ちらって見た後

恥ずかしそうに下唇噛んでる姿、可愛くて

全部俺のだったらな、なんて

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