線香花火。＿＿Reo (ページ29)

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Aside＿＿＿＿＿

玲於はその後すぐにメジャーデビューをして

学校に来ることも減って

連絡が来ることもなくなって

玲於とのその約束は

果たされることはなかった。

“ Aのお願いは、来年までとっといて ”

今になって考えてみれば、あの時の玲於は

こうなることが分かってたのかも知れない

でも、あの頃の私はまだ子どもで

玲於に裏切られたような気がして

泣いてばかりいた。

．

そんな時に現れたのが

幼馴染みのお兄ちゃん、剛典くん。

久しぶりに会ったのに

すぐに私が悩んでるって気付いた。

無理して笑ってるでしょって。

さすがに玲於の名前は出さずに

大好きな友達が遠くに行っちゃうって話したら

剛典くんは、つらいねって

優しく抱きしめてくれて

涙が出た。

それからも何かあるたびに助けてくれて

何も言わなくても

私の性格分かってくれてる剛典くんが

少しずつ、大切な存在になっていった。

二学期の終わりに就職が決まっていた私は

冬休みの間、剛典くんと何度もデートを重ねて

冬休みの終わりに、告白された。

断る理由はなかった。

剛典くんといると、楽しくて、安心して

玲於のこと忘れられた。

私に彼氏ができたって、クラスで噂になって

『玲於と付き合うのかと思ってた～』

『まあでも、玲於はもう別世界の人間だからな～』

…そうだよ、私なんか

玲於に釣り合わない。

でも、もしかしたら玲於の耳にも

届いてるのかな、このこと。

玲於は、なんて思うかな、

何も思うわけないか

『でも玲於、すげえAのこと大事にしてたし
悲しむだろうな～笑』

…やめてよ、そんなこと言わないで

そんなわけ、ない。

私なんて、告白もしてないのに

振られたようなものだもん。

なんて、ひねくれていた私には

玲於の気持ちなんて、分かるはずもなかった。

．