線香花火。＿＿Reo (ページ11)

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「Aが結婚する人ってさ、もしかしてあの人？幼馴染みの」

A「うん、そう」

「やばいな、あんな完璧な人と結婚とか絶対幸せじゃん」

俺もAから話には聞いたことあって

写真でも見たことあるけど

見るからに優しそうな人で。

なにより、すっげえイケメンで

普通に芸能人でもおかしくないくらい。

Aが言うにはスポーツもできて

頭もめっちゃ良くて

みんなからの人気者で…

俺に勝てるところなんて

きっと一つもないような

ほんと、完璧な幼馴染み。

でも、Aはその人のこと

ほんとにただの幼馴染みとしか思ってないみたいだったから

まさか付き合うなんて思ってなくて。

卒業間近になった高３の冬

その人とAが付き合ったって噂で聞いたんだ。

「ずっと続いてたんだな、すげえわ」

A「私こんなんだから、心配で目が離せないんだって笑ちっちゃい時からそうなの笑」

幸せそうに笑ったA

結婚することが

とっくの昔から決まってたみたいな

そんな風にも聞こえたけど

悔しいから言わなかった。

「Aももうヒトヅマか～、」

A「まだだけどね、笑」

…まだ、か

「…じゃあ、触ってもいい？」

A「えっ……？」

一瞬、戸惑ったような顔をしたA

手を伸ばしても、逃げないから

そっとその頬に触れた

そしたら、Aの顔どんどん赤くなって

…そんな反応されたら、期待するんだけど

触らないって決めてたけど

やっぱ無理だよ

好きな子が目の前にいるのに見てるだけとか

俺には、無理

本当は今すぐ抱き寄せて、壊したい＿＿＿

A「いたたっ、！」

「ふ、赤ちゃんみてえ笑」

A「もう、つねんないでよ～…」

そんな自分にブレーキをかけるだけで

精一杯だった。

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