・ ページ33
扉の向こうで繰り広げられている3人の会話に、いつも通りだなと笑いそうになる。でも、開けられない。
｢Aちゃん、開けてや。｣
｢…ごめんなさい、ダメです。｣
センラくんも優しい声色で話しかけてくれるが、開けられない、開けたくない。彼らの目を見てしまったら、また頼ってしまうから。
｢なら力ずくで開けるしかねぇな。｣
｢うらたん…｣
浦田先輩だ。彼の魔法力は尋常ではないから、私の魔法なんかすぐに抑え込まれるだろう。“いつもの私”だったら。
浦田先輩が扉のロックを解除しようと、膨大な魔法量を放つ。さすが学園トップ、生徒会長なだけあって、扉越しでもその力が肌に突き刺さる。
(…回復魔法だけじゃないの、知ってるでしょ。)
開きかけた扉に手を当てて、その向こうにいる浦田先輩に向かって魔法を放つ。
｢…は？｣
途端、彼から放たれていた普通の生徒とは比にならない魔法力がすっと消えていった。
｢私の“無効化能力”、舐めないでください。｣
こんな事で使うと思っていなかったけど、これは致し方ない。これ以上、私に踏み込んでくるようなら、黙ってはいられないしやる時はやる。まぁこれでさらに浦田先輩から目をつけられるんだろうが。
｢…無効化使わねぇと思ってたんだけど。｣
｢残念ですね、私はそこまで優しい人間じゃないですから。｣
彼らを突き放すにはこれしか方法がない。私がその優しさに頼らないようにするのも目的の一つだが、坂田くん達が私のせいであの女の子達にとやかく言われるのは耐えられない。本人達は気にしないんだろうけど、私が気にするんだ。
(私情、って言われたらそれまでだけど。)
私が扉を開ける気がない事を悟った浦田先輩は、今交渉するのは妥当ではないと判断して帰って行った。最後まで扉の前にいた気配は、きっと坂田くんだろう。
｢ごめんね…｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まにゅ(プロフ) - 暁さん» 嬉しいですありがとうございます(T_T)期待に添えるよう頑張ります！ (2019年4月10日 22時) (
レス) id: 886f7501c3 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - すごく面白いです！！無理なさらずに頑張ってください！！ (2019年4月10日 19時) (レス) id: 5628b1917f (このIDを非表示/違反報告)
まにゅ(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！頑張りますね(^ ^) (2019年4月8日 8時) (レス) id: 886f7501c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 面白いです！最高です!!魔法研究気になります！亀さんでもいいので頑張ってください! (2019年4月7日 21時) (レス) id: fdd942ce22 (このIDを非表示/違反報告)
まにゅ(プロフ) - 志麻セン寄りの箱推しさん» ありがとうございます(T_T)更新頑張ります！ (2019年4月7日 15時) (レス) id: 00588a474f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まにゅ | 作成日時：2019年3月18日 10時
