・ ページ24
Sakata side
驚くほど上手くいった誘導作戦。
今日、Aが休みだと聞いて、理由は俺以外の誰かと接触したからなのではないかと疑った。案の定、志麻くん以外と会話していたらしい。センラはダンスパーティーの件を少しだけ話したと躊躇なく答えたから、たぶん本当。浦田さんには誤魔化された。彼に何か言われたんだろう。
隣を見ても、癒しである彼女がいないのが苦痛すぎて、周りの女の子達をあしらってから蒼の部屋に来た。
｢大丈夫、俺、Aの味方やから。｣
そう言えば、伏せていた目を上げて、その瞳を揺らしながら俺を見る。弱さに漬け込めば、彼女が頼るのも泣きつくのも助けを乞うのも、全部全部俺に向く。
(他の誰かになんて、渡すもんか。)
ふわりと柑橘系の匂いが香る彼女の部屋に、多少なりとも興奮してしまう。…男やからしゃーない。
勉強机とセットの椅子に俺を座らせて、自分はベッドの端に座る。おいこら誘ってんのか。
｢で、何があったん？｣
手を出したくなる欲をぐっと抑えて、俯くAに聞く。
｢…昨日、浦田先輩に親のこと聞かれたの。坂田くんには前に話したから知ってるよね、親とあんまり仲良くないって。｣
たぶん、彼女の中で他人から親の話を持ちかけられることはタブーなんだろう。あくまで自分から、言いたい人に言う。その“言いたい人”が俺なのが無性に嬉しい。
｢私の親ね、魔法研究員なの。｣
｢魔法研究員！？｣
魔法研究員といったらあれだ、超超エリートだ。魔法学校の首席、さらに特別魔法研究所のナントカ資格みたいなのを取って初めてなれる。
｢研究一筋で、他のことなんかお構いなし。
なんで私を産んだのかは知らないけど…だから、私は家族のことなんて何も知らなかった。｣
彼女の言いたいことが何となくわかった。赤の他人が、家族に関して自分より知っていることが、どうしようもなく辛いんだろう。Aじゃないから気持ちなんてわからないが、悔しいことに変わりはない。
(助けてって言えばいいのに。)
甘えることを知らない彼女に、それは酷な話か。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まにゅ(プロフ) - 暁さん» 嬉しいですありがとうございます(T_T)期待に添えるよう頑張ります！ (2019年4月10日 22時) (
レス) id: 886f7501c3 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - すごく面白いです！！無理なさらずに頑張ってください！！ (2019年4月10日 19時) (レス) id: 5628b1917f (このIDを非表示/違反報告)
まにゅ(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！頑張りますね(^ ^) (2019年4月8日 8時) (レス) id: 886f7501c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 面白いです！最高です!!魔法研究気になります！亀さんでもいいので頑張ってください! (2019年4月7日 21時) (レス) id: fdd942ce22 (このIDを非表示/違反報告)
まにゅ(プロフ) - 志麻セン寄りの箱推しさん» ありがとうございます(T_T)更新頑張ります！ (2019年4月7日 15時) (レス) id: 00588a474f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まにゅ | 作成日時：2019年3月18日 10時
