敵味方 ページ9
｢…1対10で星章学園の圧勝、っと。｣
タブレットで協会に試合結果のデータを送る。雑用係にも程があると思う。
｢ずいぶんサッカー協会に従順なんだね。
君は仮にも、
｢私は先輩達みたいな強化委員じゃないの。
確かに雷門の味方だけど、協力するもしないも、私の自由。
ただ、サッカー協会のやり方に反すればそれ相応の罰が下るけどね。｣
罰なんて受けたくないし、と野坂くんに零してからタブレットを閉じる。
｢…また王帝に顔出すね。｣
✣
スカートを翻しながら去っていく彼女。
雷門のマネージャーであり、サッカー協会から指示されて全国各地を飛び回っているらしい。
僕が所属している王帝月ノ宮サッカー部にも、たまに顔を出しに来る。
｢当然の結果ですね。｣
｢そうなんだけど…
西蔭、あの雷門のこと、少し調べてくれないか？｣
｢わかりました。｣
西蔭に雷門の情報収集を頼んで、またフィールドに視線をやる。
水無瀬さんがいると、雷門の情報を抜くのは簡単ではないだろうが、まぁ西蔭なら上手くやってくれるだろう。
｢…水無瀬さんは、なぜ雷門のマネージャーを続けているんでしょうか。｣
西蔭からそう聞かれて、水無瀬さんが歩いて行った方を思わず見てしまう。
協会の指示は、FF出場チームのデータ収集だ。
雷門のマネージャーを続けているのは、彼女の意思からだろう。
｢さぁね…。
でもたぶん、彼女は1年前の雷門を引きずっているんじゃないかな。｣
去年のFFで雷門の優勝を経験したうちの1人が彼女、水無瀬さんだ。
雷門、という名前に囚われ続けているのか。
｢…僕らも帰ろう。｣
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作者名：まにゅ | 作成日時：2018年10月27日 17時
