稲妻の女神【アレスの天秤】 (ページ7)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:19,467 hit

初試合ページ7

フットボールフロンティア Aブロック
予選第一試合

｢あんの監督…！｣

私は監督の指示で、星章学園内を駆けていた。

｢水無瀬ちゃんは、試合を上から見ていてくださいね～！｣

試合開始直前に言われた監督の言葉が脳内を巡る。
私は監督の指示を拒否できる権限なんてないから、言われたら動かなくてはならない。
もうマネやめていいかな。

｢うっわ…そこにいんのか生徒会…。｣

見やすい場所はないかと客席を足早に歩いていると、目の前に天敵生徒会が。
気付かれないようにそうっと通ろうとする。

｢あら、水無瀬さんじゃない、こんにちは。｣

制服だから、気付かれないようにするのは無謀だったらしい。
愛想笑いで生徒会に挨拶をする。

｢水無瀬さんも大変ねぇ。
田舎者のお世話係なんて。｣

｢静かにしなさい。
…水無瀬さん、用事があるんでしょう？｣

驚いた。生徒会にもこういう子いるんだ。
神門杏奈さん、生徒会長だ。

｢…それじゃあ失礼します。｣

神門さんのおかげで生徒会から逃れられたので、急いで席を探す。
試合開始のホイッスルが、スタジアムに響いた。

｢あ、灰崎くん出てる。
しかもスタメンなんだ。｣

思わず足を止めて、雷門の動きに見入ってしまう。
星章の選手を躱して、ゴール前までボールを運ぶ彼ら。
そして何と、小僧丸くんがシュートを決めた。

｢え…ファイアトルネード…？｣

先制点を上げた雷門の技は、私もよく知る先輩の技だった。