練習 ページ12
FFの予選は、同じブロック16校のうち、ランダムで選ばれた6チームと対戦する。
勝ち点が高い上位2校が、本戦に出場できる、という説明が亀田コーチからされた。
｢上位2組が…｣
｢勝ち点が同じ場合は、得失点差で決まります。｣
横でもぞもぞしている監督に、怒りマークを浮かべながら亀田コーチの説明に補足を加える。
｢ということは、1度負けたチームも、残りの試合を全勝することができれば…｣
｢本戦に進めるかもしれないんだ！｣
声を上げて喜ぶ彼ら。
喜ぶの完全に早いけどな、と呟く小僧丸くん。全くその通りだ。
まぁ、モチベーションが上がるのなら結果オーライなのではないか。
本戦に出れるかもしれない、その一縷の望みを胸に、気合を入れ直して練習を再開する。
｢水無瀬ちゃん、ちょっとお願い事が。｣
｢…何ですか？｣
バインダーとタブレットを交互に見ながら、雷門の練習を記録していると監督に声をかけられる。嫌な予感。
｢前回同様、次の試合も上から見ていてください〜！｣
｢またですか…。
いいですけど、理由は教えてくれないんですね？｣
｢今もこれからも、理由は教える気はありませ〜ん！｣
だろうな。想像通りの返事だったのでそのまま練習を見続ける。
｢剛陣さん！今のボール何で取れないんですか！｣
｢それが先輩に対する口の利き方か！？｣
｢だって剛陣さん、先輩って感じしないんですもん。｣
怒りマークを額に浮かべて突っかかるのを稲森くん達に止められている剛陣さん。私は飄々とした態度でそれを躱していた。剛陣さん面白い。
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作者名：まにゅ | 作成日時：2018年10月27日 17時
