チャンス ページ11
｢何で繋がらないんだろ…。｣
自分の部屋でスマホの画面を眺めながら呟く。
私が1番信頼していて、慕っている先輩と連絡が取れない。
強化委員として派遣されているから、忙しいのはわかるにはわかるのだが、ここまで電話もメールも来ないのは不自然だ。
｢行く…しかないかぁ。｣
行ったら行ったで怒られそうだが、まぁ仕事だと言えば何とかなりそう。
｢あ！時間やば！｣
そういえば今日から朝練やるとかなんとか言ってたっけ。
今朝スマホを確認したら、私が寝ている間に監督から連絡が入っていた。
スクールバッグにタブレットとスマホを突っ込んで、急いで雷門中に向かう。
｢お、おはよう！｣
｢あ、A！おはよう！｣
肩で息をしながら、グラウンドで練習している彼らに声をかけると、爽やかな挨拶が返ってくる。
｢何でそんなに息切らしてるの？｣
のりかちゃんに背中をさすってもらいながら息を整える。
｢朝練があるって監督からの連絡に気付いたのが、今日の朝だったの…。｣
あのへらへら監督絶対許さない、と呟く私を、みんなが苦笑いで見てることなんて知らない。
｢お〜っほっほっほっほ〜！
ここで問題、あなた達にまもなく新たな試練が訪れます。
さてそれは一体何でしょう？ポチッ。｣
ゴールポストの上に立って、クンフーとやらのポーズをとっているあの監督が本当にムカつく。
10秒以内に答えられなかったので、ブッブッーと言いながらポストから飛び降りる監督。ムカつく。
｢FFの本戦に進めるかどうか、あなた達にはチャンスがまだ残されているんです〜！｣
｢どうしてこう、正論なのにあの監督が言うとムカつくんだろう…。｣
驚きの声を上げる雷門イレブンと、高笑いをする監督を横目に、頭に手を当てて溜息をついた。
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作者名：まにゅ | 作成日時：2018年10月27日 17時
