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397話:月 ページ39

後日、私は土蜘蛛達から
術式を教わるようになった。

主にキュウビには
同じ妖術なので、よくお世話になる。

昔に使っていたモノを、
一つ一つ、思い出していくかのように
私は術を身につけていった。


春が過ぎ、夏になり、
夏が終わり、涼しい秋へと移る頃。


私はようやく、Sという称号を手に入れていた。



自らの身体に異変が起こったのは、
称号を手にした、その夜の事だった。




秋。月がとても綺麗に見える季節。
今日は風も緩やかで、雲もない。


月を見るには最高の日だった。


私は月を見るために、
自室の障子を開けて縁側に座っていた。


酒は無いが、見るだけで
何だか落ち着く。



月は、烏天狗やエンマさん、
そういえば、かまいたちとも見ていたっけ。


何百年経っても変わらないその姿に
安堵を覚えたその時だった。


喉に、胸に、身体中に
はげしい痛みを感じたのは。




貴方「っ…う………あ゙……!」



助けを呼ぼうにも、呻き声しか出ないし
その場から動く事も出来ない。


この感じに、覚えがあるが
久しすぎて、その痛みを忘れていた気がする。



爪が黒く尖り、額から角が生えてくる。
目は赤く、闇の中でも鏡にはっきりと怪しく映る。

悍ましい姿。

ああ、こんな姿
見られたくない。





貴方「つ………ち……ぐも……っ…」



痛む喉を手で押さえつけると、
爪が食い込み血を流す。


何もかも悪循環だった。

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作者名:暁兔 x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年1月18日 0時

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