396話:守れる強さを ページ38
土蜘蛛「どうしたんだ…、お主らしくもない。」
貴方「……強くなりたいの…。守られるだけじゃ…嫌なの…。」
立ち上がって、土蜘蛛の胸に顔を埋めた。
土蜘蛛の存在を確認するように。
温もりを感じたかった。
彼等は、私を守る為なら、
我が身も犠牲にしてしまうから。
また離れ離れになるかもしれないと
そう思うだけで、怖くなった。
土蜘蛛「A……、どうしたというのだ…。落ち着け…。」
貴方「ごめん…土蜘蛛……。怖いの…、だから確証のある強さが欲しい…。」
土蜘蛛「どうして強さに拘る。強さ等なくとも…」
貴方「強くなければ……守れない…。自分も…大切なヒトも。」
土蜘蛛「何か…守りたいものでもあるのか…?お主は、何をそんなに焦る程の事を経験したというんだ。」
貴方「……」
大ガマや、土蜘蛛。
カルラ、烏天狗…その他のみんなも。
私に関われば、傷ついてしまう。
外傷だけならそこまで気にしないけど、
彼等は心まで傷を負って、それを隠そうとする。
貴方「ごめん………。変な事言って…困らせるつもりじゃなかったの…。」
土蜘蛛「A…」
上手く、話せない。
距離のとり方もわからない。
“記憶が無い”だけで
困る程、泣き無くなるほどに不便だ。
そんな私に、土蜘蛛は言った。
土蜘蛛「強くなりたいのなら、手助けをしよう。だから今は泣けば良い。強くなってからは、泣かせぬからな。」
抱き締めてくれる。
何度も、涙を拭ってくれて
懐かしい、昔の笑顔を私に沢山くれる。
ああ、私はコレが大好きなんだな……。
今までも、これからも。
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作者名:暁兔 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月18日 0時