377話:禁忌 ページ18
閻魔「……禁忌だったのだ。」
貴方「禁忌…?」
ポツリとこぼれた声は
とても寂しそうな、聞いた事もないような
悲しい声だった。
閻魔「我が孫のエンマが………お前の想い人が、室町後期に………死んだのだ。」
貴方「え…?」
信じられない、そんなこと…今まで誰も言ってはくれなかった。
みんな知らなかったのか、
それとも、知っていて事実を告げなかったのかはわからない。
だけど、胸が痛くて
息が上手く出来なくて、
涙が勝手に沢山溢れてきた。
会えない。
二度と、エンマさんには……………。
でも、未来で……
未来で彼は生きている。
あの姿のまま、変わらずに。
閻魔「ワシは……悲しみに暮れた。今も尚、それは続いておる…。しかしな……ある研究結果が女郎蜘蛛より報告されたのだ…。」
貴方「女郎蜘蛛から…?」
涙を拭き、懸命に閻魔大王様に向き直る。
話を聞くことしか、今は出来ないから。
閻魔「鬼の血を体に秘めた者の記憶を使って、想い出を甦らせるというものだ。」
貴方「…それは…一体……?」
閻魔「…元より、Aは我等閻魔族の末裔。それが人間であったとしても、鬼の血により穢れてしまった事が、この妖魔界中に知れ渡ることを恐れた…。」
貴方「穢れって…、どうしてそんなことを言うんですか…!本家鬼族を結界で守っていてくれたアナタがどうして…!」
詰問するごとに、
事実…自分がよく思われていなかったのだと、
そう周りに知れ渡ることをこの方が恐れていたことを知る度に
私の過去の複雑さを思い知った。
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作者名:暁兔 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月18日 0時