269話:一人 ページ47
女郎蜘蛛が、「ちょっと薬草採りに行ってくるわ」と言い出かけてしまった。
蝋燭の明かりだけが、洞窟の中を照らしている。
みんなそれぞれに役割があって、
食料を集めたり、村に働きに行ったり
作物を作ったり、薬を売りに行ったり、
洞窟の前の警備をしたり。
私は傷のせいでまだ動けないから
洞窟の中にある、カルラの作った“家”の中だけに留まっている。
今日の監視役の女郎蜘蛛は、さっき出かけてしまったから、今は1人。
貴方「…暇だなぁ………。」
みんなが頑張っているのに、私だけ寝ていてもいいものか。
でも、勝手に動くと烏天狗あたりに怒られる。
一人になると考えてしまうのは
やっぱりエンマさんやカルラの事で…。
貴方「女郎蜘蛛の言ってた応えないでって……、私の為に言ってくれてるんだもの……。それにカルラの言う好きは…」
あの好きは、異性として好きという意味では無いかもしれない。
状況が状況だっただけで、
カルラ自身深い意味は無いと思っている可能性だって無くはない。
私「普段通りに接しよう……。それが一番良い…よね。」
私の想い人はエンマさんで、
他のみんなも大好きだけど、
意味合いが全然違う。
その事はちゃんと分かっている。
貴方「………わかってるよ…そんな事…。」
女郎蜘蛛の言う“恋”は、
まだ具体的にどういうものか実感出来ないけど、
今わかるのは、その恋が
私にとって困るものだということ。
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月25日 14時