254話:若君が居ないなら ページ32
大ガマ「あのなぁ、綺麗ってのは女に使うんだよ。」
貴方「そ、そうだけど……、今の大ガマ凄く女性に見えて…。」
大ガマ「……それって、さ…。俺の事…男として意識してないってこと…?」
貴方「え…?」
大ガマ「俺の事が女に見えるくらい、異性として見られてねぇの…?」
貴方「そ、そんなんじゃないよ…!」
大ガマ「さっきだって、口付けの事気にしてねぇとか言うし…。普通気にするだろ、好いてもねぇ男から、自分の知らない間に口付けされてんだぞ?」
貴方「…でも………本当に気にしてない…し………。私を助けるためにしてくれた事でしょ…?それに……私、大ガマのこと好きよ…?」
大ガマ「っ!」
私の言葉に、大ガマはピクッと肩を揺らした。
その後すぐだった。
大ガマが私の手首を掴んできたのは。
貴方「大ガマ…?」
大ガマ「そういうの……やめてくれよ。お前が好いているのは…エンマの若君なんだろ…。」
貴方「あ…」
そう言われて、エンマさんとの思い出が脳を過る。
自分でも頬が紅潮していくのがわかる。
大ガマ「お前の困った顔、本当に綺麗だ。」
なんて事を言いながら、私の手首を掴んでいない方の手が、頬に当てられる。
貴方「み…見ないで…」
着物の裾で顔を隠そうとするが、
その手を止められる。
両手を捕らえられた状態で、
背に傷を負っている為、逃げる事も出来ない。
女郎蜘蛛に、女の顔を見せるなと言われたところなのに、この状況に羞恥を感じて更に女の顔になる。
大ガマ「若君が居ないなら……良い、よな…?」
貴方「え…?」
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月25日 14時