241話:心境 ページ18
ーカルラsideー
カルラ「声…?」
貴方「愛おしい……大好きで、とても安心するあの人の声が聞こえたの………。」
僕の腕の中で、Aは微笑んだ。
その笑みを、僕は未だかつて見たことは無かった。
Aは、こんなにも美しく笑うんだ。
どこか儚げで、目を伏せているためか
長く綺麗な睫毛が僕の目にとまった。
脳内ではきっと、その“愛おしい人”を写しているんだろう。
それは……僕の知っている人?
烏天狗?キュウビ?大ガマさん?土蜘蛛さん?
それとも………別の人?
何だろう、このモヤモヤした気持ちは。
初めてだ。Aの口からこれ以上
その愛おしい人とやらの話は聞きたくない。
どうしてだろう。
Aの綺麗な笑みを目に映すたびに
胸が……すごく締め付けられるのは。
烏天狗………これが、お前の言っていた事…?
『カルラ!僕好きな人が出来たんだ!』
『好きな人?』
『人間なんだけどね、凄く美人で………遠目からしかみたことは無いんだけど…。村でも評判なんだ!』
『………カルラ、あの人が……僕の好きな人が死んだんだ。だから、おおもり山の守護者に戻して欲しい…。』
『だから人間などやめとけと言ったのに。人間はすぐに死ぬ。』
『うん…………、苦しい。胸が締め付けられるようで…………悲しくなる…。考えると、涙ばかりが出てくるんだ。
それだけ僕はまだ………
あの子に惚れてるんだ______。』
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月25日 14時