239話:助けたかった、守りたかった ページ16
最後の札、念のために残しておいて良かった。
カルラ「A!何する気なの!!」
貴方「つむじ風の術!」
放たれた術は私の首筋へと飛んできた。
切れた皮膚から血が流れ、
風が髪を揺らした。
烏天狗「A…!?」
貴方「鬼ガマ…っ、早く………飲んで…!」
鬼ガマ「お前っ…!何………してん…だよ…、馬鹿………!」
貴方「鬼ガマが苦しくなくなるなら、これくらいどうって事ない…!」
鬼ガマ「……ごめん…な………」
首に温かい感覚があったあとは
何があったのか覚えていない。
目が覚めた時には、目の前でカルラが泣いていた。
カルラ「馬鹿A!死んじゃったかと思ったァ…!」
私の手を握るカルラの手は震えていた。
隣を見ると、大ガマと土蜘蛛も眠っている。
あの後キュウビが来て、3人で白虎の間まで運んでくれたらしい。
貴方「ごめんなさい……。
カルラから貰った札、凄く役に立ったよ。大ガマを助けることが出来た。本当にありがとう。」
そう言うと、カルラは一層泣き出した。
カルラ「アンタが自傷行為をしてまで誰かを助けるために、あの札を渡したんじゃない!僕は、アンタが無事でいるために渡したのに…!」
貴方「カルラ………。」
誰かを助けて、自分の中で達成感はあったとしても、それが誰かを悲しませる結果になることなんて、あの事件で分かってたはずなのに。
どうして私は同じ事を繰り返してしまうんだろう。
そうしていつも、謝るだけで
何の解決にもなってないんだ。
57人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月25日 14時