247話:仕方がない ページ25
ーカルラsideー
Aが、大ガマの鬼の血を飲むことを只管嫌がっている。
カルラ「何で……」
わけがわからない。苦しいなら、楽になりたいでしょ?
そう思っていると、土蜘蛛が口を開いた。
土蜘蛛「怖いのだ。吾輩もそうであった…。血を飲むことは………怖い。我等妖怪がその様に感じるのだ。人間なら…如何程の恐怖か…。」
大ガマ「血を飲むことで………人間じゃねぇって痛感しちまう、嫌でもな………。」
僕達は皆口を開けなかった。
何も言えなかった。
そうだ、Aはすぐ近くにいて
とても良くしてくれて、最高の友達だ。
一緒に居すぎて忘れてしまう。
彼女が、人間であることを。
僕達とは考え方が違う。
習慣が違う。
感じ方も、全然違うのに。
そりゃあ、血なんて飲みたくないよね。
自分が、人じゃ無いって
思うのは嫌だよね…。
大ガマ「それでも………お前を救う方法は、今は血を飲むことしかねぇんだ…。悪く思わないでくれ。」
悲しい表情の大ガマは
そのまま指を自分の口に含み
Aに口付けた。
口の端から、真っ赤な血が
スっと伝っていくのが見える。
そしてまた、僕の心は痛むんだ。
ズキズキと、呼吸が出来なくなっていくんだ。
仕方がない事だって
自分に言い聞かせるのが
とてもツラい。
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月25日 14時