205話:支配 ページ27
そうだ。思い出した。
私が、室町の後期にどう過ごしたかを。
あの頃は何も出来なかった。
守ってもらうだけだった。
土蜘蛛と大ガマの最後の姿。
宮を守るために、あの2人は私を逃がして戦った。
あとはどうなったか知らない。私は死んでしまったから。
でも、もし今生きていて、この妖魔界が危機に陥っているのだとしたら、私が今度は助ける。
そう決めたの。
烏天狗も、私を守るために敵に捕まってしまった。
あの時、私は烏天狗を守ろうと思って血を飲んだ。
結果的に敵は倒したけど、烏天狗やエンマさんを悲しませる事になった。
もっと私が強ければ。
もっと他の方法を思いつく事が出来たら。
2人を悲しませないで済んだというのに。
あの頃の私は、自分を犠牲にするしか考えが無かったから。
でも、次は……
みんなで幸せになれる未来を築きたい。
貴方「烏天狗、私は……貴方から見たらきっと何も出来ない弱い人間だと思う。それでも、守りたいと望むものを貫く覚悟はあるの。だからお願い、貴方の力を貸してほしい。」
あの惨劇を、繰り返さないために。
烏天狗「……似てる。本当にそっくりだ。性格も、顔も、声も。僕が君の願いを聞き入れられないはずがない程に、君はもう僕を支配しているよ。
連れて行ってあげる。カルラの元に。」
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月14日 0時