＊けじめ ページ19
「あー？」
A「ごめんね。」
自分の言葉に首を傾げた幼い少年の心臓を一突きにし、剣を引き抜く。
自分と瓜二つの顔。
生気がなくなった瞳に血が付いていないほうの手で瞼を下ろしてやり、また次へ。
此処はアカ国付属の研究施設。監視カメラを全て壊し、自分とよく似た彼らを自らの手で殺す為にやって来た。人の形になり切っていないものは生命維持装置を切り、子供から大人までいるクローン達はなるべく痛く無いように絶命させる。彼らは何も理解すること無く息絶えた。自分と同じ不死性を持つ者は、誰一人としていなかった。
自分と同じように実験によって苦しい目に合ってほしくない。かと言って、彼らに人並みの暮らしは出来ないことも理解している。でも、それでも、無抵抗の彼らを殺す事が本当に正しい事なのか、Aにはわからなかった。ただ、ひたすら「ごめんね」と声に出し、虚無感に苛まれながらも、一人一人、確実に命を奪っていく。
非常灯の明かりの下、真っ赤に染まった自分の手を見つめ、彼はまた、ポツリと懺悔の言葉を吐いた。
＊＊＊
ドサッ
何かの物音と頬を撫でる風の冷たさに、グルッペンは目を覚ました。枕元に置いてある眼鏡をかけ、音の発生源を探る。すると、開けっ放しにされた窓の近くにAが立っているのが見えた。
グル「A。」
グルッペンが名前を呼ぶと、彼はゆっくりと此方を見て、それからまた、虚ろな光を宿した瞳を伏せる。濃い血の香りを纏い、身体を強張らせて立つ彼は、まるで親に叱られるのを待っている子供のようだった。
A「…終わったよ。グルッペン。」
漸く口を開いた彼は、無表情にそう告げた。
グル「そうか。ご苦労だったな、A。」
A「つかれた…」
覚束ない足取りでグルッペンに近寄ると、彼は正面からグルッペンの肩に頭を凭れさせ、深いため息まじりに呟く。グルッペンは何も言わずにAの細く広い背を軽く叩き、そのままにした。
A「あ〜〜…グルッペンの匂いだぁ…」
グル「なんやそれ。…てか起こされて眠いんだゾ、早くお前も血を落として寝るんだゾ」
A「ん…わかったー…」
血の香りと共に彼の熱が離れる。そしてAは音も立てずにドアから出て行った。
元どおり自室に一人の状態になったグルッペンは、開けっ放しの窓に今更気が付き、肌にじんわりと染みる秋風に身をすくめ窓を閉める。
グル「…全く、Aも世話が焼けるな。」
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天の声 - 終わった…の…か？…(¬_¬) (2019年3月8日 0時) (
レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
Karasu - 終わり…ですか？？ (2019年1月6日 18時) (レス) id: ce467b078d (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - 初コメ失礼します！高機能のうさぎ……天国編に出てきたうさぎかと思いましたw (2018年3月1日 21時) (レス) id: 0e94862c9b (このIDを非表示/違反報告)
てっさん(プロフ) - イメ画とても素敵です…色合いから何から何までどストライクで好きです…初コメ失礼致しましたっ (2018年1月17日 0時) (レス) id: c960d35a04 (このIDを非表示/違反報告)
サクヤ(プロフ) - ninaさん» そう言って頂けて嬉しいです！！ありがとうございます！！ (2018年1月15日 20時) (レス) id: f3b38bb195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サクヤ | 作成日時：2017年12月23日 8時
