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漆ノ話【優しい人】 ページ7

『まったく…もう少し説明をしたらどうだ……。』

凛とした、それでも辺りに響く綺麗な低音が何故か俺の不安を少しだけ和らげた。
でも誰だ???
ゆっくりと此方に近づいてくる。

「あっ……あの、貴方は……」


『俺は朝時 A。先程いた冨岡義勇の同僚だ。』「!!!」

同僚。

その言葉を聞いて反射的に禰豆子を再度強く抱きしめる。
男性は申し訳なさそうな顔をして微笑み、ゆっくりと言葉を放った。

『嗚呼大丈夫。君の妹を切ることはしない。
君の名前は?』

暖かい。本当に朝日のような匂いだ。
冷たかった場所をゆっくりと温めていくような……。
その匂いに警戒心も緩み、俺は質問に答える。

「俺は……竈門炭治郎です。こっちは妹の禰豆子です。」

『うん。二人ともいい名前だね。……。』

悩んだ顔をして、俯いてしまった。
どうしたんだろう。

ふと、彼は顔を上げた。
とても辛そうな、悲しそうな、なんとも言えない顔をして朝時さんは言葉を紡いだ。

『……炭治郎君。済まなかった。
俺がもう少し早く来ていればどうにかなったのかもしれない。許してくれとは言えない。言える立場ではない。だからどうかその怒りを俺にぶつけてくれ。』

嗚呼この人は……本当に、優しい人だ。

俺を気遣って、それでも本気でこの言葉を言っている。

何も、悪くないのに。悪いのは鬼……鬼だから。

「…いえ。大丈夫です!
この怒りは、貴方にぶつけていいものでは無い。鬼…鬼に対して使うものだと思うので!」

そう俺が言うと、
彼はまた申し訳なさそうな顔で俺の頭を撫でた。

捌ノ話【優しい子】→←陸ノ話【朝日の匂い】



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紗那(プロフ) - 初めまして、面白くて好きなったんですが、本来なら続くと表示されているのに最後終わりとなっています。この先は続かないんですか? (2021年11月17日 17時) (レス) id: 651dd4d3c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:成瀬華夜 | 作成日時:2021年3月14日 7時

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