参ノ話【守りたかった】 ページ3
『義勇。』
まだ日が高い中、冬の寒さに身を震わせて1人ぽつりと立っている男……冨岡義勇に話しかけた。彼はゆっくりと此方を向く。
横顔は絵になるほど綺麗だった。
彼は何時もどうりの無表情で返す。
「Aか。今日はよろしく頼む。」
言葉足らずの彼だが、俺と錆兎と真菰には良く話をする。
まぁ彼処の店の鮭大根が美味しいとか、不死川や伊黒と仲良くなれないだとか、そんな小さな世間話だ。
『彼処は雪がよく降る。急ごう。』
彼がコクンと頷き俺達は出発した。
この任務本当は義勇だけだったが、嫌な予感がして同行することにしたのだ。
山に近づくにつれて、その胸騒ぎが大きくなっていく。
『……済まない。
嫌な予感がするから先に行く。』
「分かった。」
並走していた義勇に一声かけ、呼吸を使って追い抜かす。
『嗚呼。間に合ってくれ。』
もうすぐ、日が暮れてしまう。
全力で走るのに、それよりも早い速度で太陽は落ちていく。
着いた頃には日が既にかなり落ちてしまっていた。冷や汗が止まらない。
忌々しい鬼の匂いが辺りに広がっている。
匂いを辿りながら山の奥へと向かう。
進むにつれ、匂いが濃くなる。
家が見えた。
誰かの悲鳴が、聞こえた。
間に合わなかった。
守れなかった。
俺が、無力なせいで………!!
だが悔しんでいる暇はない。
あの 悪鬼を。
殺さなければ。
よく嗅いだ匂い。
赤い瞳。縦長の瞳孔。
少しだけ波のように曲がりがかかった黒い髪。見慣れないハイカラな洋服。
返り血を諸共しない冷酷無慈悲さ。
『ああああ!!!!!!!!』
間違いない……彼奴は、鬼舞辻 無惨!!!!!
最悪の惡鬼。全ての鬼の元凶!
一秒にも満たない速度で刀を抜き、向かった。
男…鬼舞辻無惨は俺に気づいて口を開けた。
「柱か。もう遅かったようだな。
私は今気分が悪い。消えろ。」
『っ?!』
ドガッ!
管の様なもので殺されそうになるものの、
刀で上手く軌道を反らせる。
だが威力でかなり遠くまで吹き飛ばされる。
「?……!そうか、お前は……───!」
最後のその言葉から俺の意識は飛んだ。
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紗那(プロフ) - 初めまして、面白くて好きなったんですが、本来なら続くと表示されているのに最後終わりとなっています。この先は続かないんですか? (2021年11月17日 17時) (レス) id: 651dd4d3c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:成瀬華夜 | 作成日時:2021年3月14日 7時