朝の炎に包まれて【煉獄杏寿郎】【男主】 (ページ11)

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拾壱ノ話【狭霧山】ページ11

お館様に報告をしてから仕事をしつつ、狭霧山に着いたのは炭治郎と別れて半年後の早朝ことだった。

……弁明をさせてくれ。
本当に任務が色々な方面から来るのだ。
因みに俺は担当地域に加え、色々な場所の情報を頼りに仕事をこなす。その延長で長期任務にも当たる。

ちなみに担当地域は他の人に任させてもらいました……。というかお館様がそう配慮してくださいました……。

まぁそんなこんなで逃げ足が早くて鬱陶しい血気術を使う下弦に時間を取られこんなにも遅れてしまったわけです。

本当に鱗滝さんに申し訳ない……。
早朝に着いてしまったことは仕方が無いので薪を割っている鱗滝さんの元へ行き話しかけた。

『お久しぶりですね。鱗滝さん。』

肩が震えたかと思えばぐるりと勢いよく向いた。いつもの天狗の面が此方へ向けられる。
俺の顔を見なり

「！Aか。」
といった。
いや鱗滝さん…俺以外に誰がいると思ったんですか…。
そんな疑問は頭の隅に追いやって話を続ける。

『ええ。送った少年は無事かと思います。半年間もの間おまかせしてしまい申し訳ないです。

…暫く炭治郎の鍛錬を見て指導をします。
多分義勇は来ていないですよね？
後で錆兎と真菰に連絡を入れておきます。』

「…嗚呼。……立派に、なったな。」

堅くなった手で優しく頭を撫でられる。
この歳になると(お館様を除き)撫でられる機会というのは無い。
今は亡き親の事を思い出して目尻が熱くなった。

『……ありがとう、ございます。』

二人でしみじみしていると家の戸が開き、中から炭治郎がでてきた。
ボロボロになっているのを見ると苦戦しているようだな。
鼻が前よりも冴えてきているのか扉越しでもわかったようだ。
手を大きく振りパタパタと此方にくる。

「あ！矢っ張り！Aさん！どうしたんですか？」

鍛錬で辛いはずだが笑顔を絶やさない。
良い心掛けだ。

『嗚呼、炭治郎。いや今日から俺が鍛練を見るよってだけだ。基本的な事は鱗滝さんから習うが、まぁ助言役とでも思ってくれ。任務でいない時が多いが。』

「！！ありがとうございます！」

ぺこ！と効果音が付きそうな位行き良いよく直角にお辞儀をした。

山中に入っていく彼の背中は決意をした少年の背中だった。

───

煉獄さんが登場しないんですけど……(思ったより尺が伸びてしまった)