序章【刀を振る理由】 ページ1
俺は捨て子だった。
まぁ捨て子と言っても名前もあってきちんとおくるみに入れられていたそうだから、何か理由があったんだろうけれど。
それを両親が拾ってくれた。
親は鬼殺隊ではなかったけれど鬼殺隊に協力をしていた。
両親は医者だった。
そんな恵まれた環境の中、
俺はすくすくと育っていった。
でも……
幸せな時間というものは
必ず終わりがある物なのだ。
ある日突然、鬼舞辻の襲撃を受けた。
丁度、藤の香が切れていた日の事だった。
両親が俺を庇った。
「逃げて!!!」
そう言って彼女は胸を突かれた。
「お前だけでも生きろ」
そう言って彼は飼っていた鷹に俺を掴ませた。
何よりも俺は貴方たちに生きて欲しかったのに
何も出来ず、鷹の爪に掴まれながら泣いていた。
気がついた時には朝だった。
御館様が派遣してくれていた隠が俺を保護したが、頼み込んで家に帰った。
家に残されていたのは両親だった血肉。
襲撃前、笑っていた姿が嘘のようだった。
人目も、はばからずに泣いた。
無力さが。肺を焼いた。
もう二度と、失いたくない。
この思いを他の誰かに体験して欲しくない。
その思いから刀を握った。
自分の大切な者を守るために、
誰かの大切な者を守る為に刃を振るう。
『大丈夫だ。俺が居る。』
─これより開幕致すのは
在る青年の物語──
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紗那(プロフ) - 初めまして、面白くて好きなったんですが、本来なら続くと表示されているのに最後終わりとなっています。この先は続かないんですか? (2021年11月17日 17時) (レス) id: 651dd4d3c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:成瀬華夜 | 作成日時:2021年3月14日 7時