皇帝様が年下育成に目覚めたようです。 (ページ37)

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＿Side A

『ずっと、何で天音があんなことになったのか
　私には理解できなかった。
　でも…天音の死後、引きこもってしまった星羅に
　毎日のように会いに行ってた時に見つけたの…
　日記と呼ぶにはあまりにも悲惨な事実が
　殴り書かれた天音の最後の言葉を綴ったノートを…』

11歳の私では、とても受け止めきれない内容だった。

『総長の女、それが全ての引き金。
　ノートには、自分の女ということもあって
　天音を、総長はいつも優遇してた事。
　…それが原因で他のメンバーから恨みを買った事…。
　そして…副総長の指示で……暴行を受けた事…
　最後には…誰の子か分からない子を孕んだことが
　乱雑な字で書かれてた…』

それを苦に天音が死んだんだと理解した時
私は、沸々と湧き上がる恨みに支配された。

『本気で…人を殺してやろうと思った。
　…だけど、その時すでにそいつは死んでた』

竜「！！」

蘭「…俺達が殺したから…か」

『怒りをぶつける先を失ってしまったことより
　私は…2人に対しての罪悪感の方が大きくて…
　もっと早く、その事実に気付いていれば
　2人は人殺しにはならなかった。
　恨みを持つ私が殺す…それで良かったのに…
　私には、2人が私の代わりに
　狭い檻の中に閉じ込められたんじゃないかって
　そう思えて仕方なかったの』

竜「別に、それとこれは関係ねぇだろ？」

『そうかもしれないけど…でも、そう思いたくても
　拭い去れない罪悪感はいつも私を支配した。
　大事な人を失った寂しさ、溢れる出る罪悪感
　それら全てが狂った私を生み出した。
　天音のように穢される事を苦に思うくらいなら
　自分から穢れてしまおう。
　少しでも人に触れていれば、寂しさを埋めれる。
　そんないろんな感情…』

解散して、散り散りになった狂極の連中を
見つけることは、不可能に等しかったし
私の中の虚無感は、膨らむばかり。

『追い討ちをかけるように、星羅も失った。
　施設の人に聞いても、引き取り手が見つかって
　もうここには居ないって言われるだけで
　何も教えてもらえなくて…』

天音も、天音に託された星羅も
私は全て失ってしまった。

『どこまでも堕ち続ける私を見つけ出してくれたのが
　蒼ちゃん達なんだよね』

天音と同じ中学の軽音部で一緒にバンドを組んでた
蒼ちゃん、蒼ちゃんの幼馴染の翔ちゃん
翔ちゃんと同じ学校だった颯ちゃん。

3人が私の元を訪ねて来たことで救われた。

＊