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「 でさ、名前教えてくれる? 」
名前知らん状態で話してもなんて呼んだらいいか分からんわ、と言われ散々黙った挙句、
「 …神田、です 」
名字を名乗った。
男の人から軽々しく名前を呼ばれることが嫌いだ。
名前で呼ばれる度に、男上司との会社での行為を思い出して吐き気がする。
「 分かった、神田さんね、でも心開いてくれるようになったら名前も教えてや? 」
「 ……考えときます 」
「 じゃあ俺も名字で、川村とかテキトーに呼んで? 」
名前は俺も秘密やで〜と手をヒラヒラ振る川村さん。
注文していたブレンド2つが机に置かれ、川村さんからあの話を聞かれた。
最初は話せなくて固まったりしたけれど、川村さんの何も言わずただ話を聞いてくれる姿に徐々に甘えて、
上司のパワハラ、セク ハラ、両親との絶縁、その他諸々全て話した。
話し終わる頃には私は涙が溢れて、川村さんの表情も曇ってしまった。
「 …っていうことがありました。…すみません、こんな重い話。 」
「 ううん、ありがとう、聞かせてくれて。よう今まで一人で抱え込んで頑張ったわ、ありがとう、本当に 」
川村さんは袖で隠していた口を見せて、一気に優しい笑顔を見せてくれた。
「 …頑張ってなんか、無いです。今日も逃げようとしました。もう消えちゃえば楽になるって、 」
「 俺やって辛いことから逃げようとすることたっくさんあんねんで?しかもこうやってさ、原因はともあれ俺達が話してるのも神田さんが生きてくれたからよ、
ありがとう、あの時俺からも逃げないでくれて。」
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浦子(プロフ) - kkm1997さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて光栄です(TT) (2022年2月24日 22時) (レス) id: 937c017f8b (このIDを非表示/違反報告)
kkm1997(プロフ) - はじめてコメントします。最近読ませてもらってます。急展開このまま続けてください。楽しみなんで… (2022年2月24日 21時) (レス) @page23 id: 7f4f373820 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浦子 | 作成日時:2022年1月31日 2時