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私も抵抗する事を諦め、少し男の胸の中に収まっていた。
しばらくして男は手を離してくれて、
「 なあ、初めましての人に話すの嫌かもしれんけどさ、君が良ければ少し話聞かせてくれんかな?何であんな行動とったんかをさ 」
私を肩を掴んで、無理やり私をホーム側に振り向かせた男は私の身長に合わせて屈んで、私の目を見て言った。
「 …なんでそんなに真摯な対応するんですか、初めて会ったのに、 」
「 そりゃあんなん見たら気になるやんか 」
「 …野次馬的発想ですか 」
「 ただの野次馬とちゃうで、君の事助けたんやから 」
「 …助ける…? 」
「 …まあ君にとっちゃ不本意かも知れんけど、俺は君がまだ生きててくれて嬉しいで?初めましてでもな 」
私の頭を撫でてきた。でも顔は帽子にマスクで見えない。
不審者にしては親切過ぎる。でもそうやって油断させてるのかな。
「 あ、今不審者やと思った?まあ急に君に抱きついた時点で不審者か 」
口元を握った拳で押えてふふっと笑う男。
勝手に関西弁ってもっときつい話し方だと思ったけど、この人はなんだか一つ一つの言葉が優しい。
「 ……良いですよ、話しても。手出さないなら 」
「 当たり前に手出さんわ、…じゃあ外じゃアレやし、あの店入ってじっくり聞かせて?俺明日仕事無いし 」
悪い人には着いていくな
小さい頃に教わったこの言葉。
でもこの人はそこまで悪い人じゃない。
直感的にそう思い、改札を出て深夜まで営業のカフェに向かった。
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浦子(プロフ) - kkm1997さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて光栄です(TT) (2022年2月24日 22時) (レス) id: 937c017f8b (このIDを非表示/違反報告)
kkm1997(プロフ) - はじめてコメントします。最近読ませてもらってます。急展開このまま続けてください。楽しみなんで… (2022年2月24日 21時) (レス) @page23 id: 7f4f373820 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浦子 | 作成日時:2022年1月31日 2時