No.56 ページ12
メンチさんの前に着き、机に2人分の咖喱を並べた。
「審査、お願いします。」
まだ一人も合格者を出していない二次試験…うぅ、なんだか緊張してきちゃいました。
「わーい。カレーだぁ!いっただきまーす!」
咖喱を取るや否やバクバクと口に運ぶブハラさん。
「うーん!美味しい!合格ぅ!」
あっさり、合格判定を貰えちゃいました。ですが問題はメンチさんです。ブハラさんだけでなく、メンチさんにも" 美味しい "と云わせ無ければ二次試験は合格出来ないのですから。
「ん。まぁ、見た目と香りは悪くないわね。」
そう云うと、メンチさんは私の咖喱を口に運びます。
「………………。」
「い、如何でしょう…?」
長い沈黙。此れは……
「駄目、ですか?」
嗚呼…折角、太宰さんと敦くんに背中を押してもらったのに。でも相手は美食家さんです。仕方が無いのかもしれません。此れ以上、工夫の仕方が思い付かないけれど、時間の許す限り作り直すしか__
「美味しいわ。」
「えっ」
「美味しい。って言ったのよ。聞こえなかった?」
「あ、いえ!でも、てっきり、不合格かと思ったので…」
呆然とする私に、メンチさんはふぅ、と溜息をついて
「美味しいわ。このカレー。誰かのことを大切に思って、一生懸命作った__そんな味がする。誰かのためを思って作られた料理はね、無条件に美味しいものなのよ。」
余程下手な料理じゃなければね!とメンチさんは微笑む。
「メンチさん…」
「おめでとう。合格よ!」
二次試験初めての合格者に、会場がざわついた。
「わー!すごーい!A!」
ゴン君が笑顔で祝福してくれる。
「ありがとうございます!」
「ねぇねぇ!オレもAのカレー、食べてもいい?」
「はい!まだ残ってれば、どうぞ!」
「じゃあオレもー。」
「私も頂こう。」
「オレも食う!」
ゴン君に続いてキルア君やクラピカさん、レオリオさんも私達の調理台へ向かいます。
「なんか…良いものですね。」
「ん?」
「今迄、こんなに沢山の人に自分の料理を食べてもらうことなんて無かったものですから…誰かに一生懸命作った料理を食べて貰えることって、こんなにも嬉しいことなんですね。」
「ふふ、そうね」
「あ、そういえば!素材調達と調理は仲間と分担してやったのですが、それは…」
「ふーん。まぁ、協力は無しなんて言ってないからね。いいわ。あなたの仲間も合格よ。」
「良かった。ありがとうございます!」
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マニ。(プロフ) - 猫ノ栞さん» ✉️。はい!ボードの方で仲良くしましょうね!宜しくお願い致します💖 (12月5日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - マニ。さん» よかったです!これからよろしくお願いします🌸 (12月5日 19時) (レス) id: 218254b255 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - 猫ノ栞さん» ✉️。平気です!ちゃん届いてますし、空欄ではないので大丈夫です!💖 (12月5日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - マニ。さん» 再度送って見ました!届いてますでしょうか? (12月5日 19時) (レス) id: 218254b255 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - 猫ノ栞さん» ✉️。おけです!ボードの返事お待ちしています。猫ノ栞さん!☺️ (12月5日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫ノ栞 | 作成日時:2018年12月30日 16時