No.5 ページ7
来た道を戻り、倉庫に着いた私は目当ての物を探します。
私が此処に、私の異能で来たのなら_此処にはアレがある筈なのです。私が通れるくらいの、大きな鏡が。
辺りを見回しながら倉庫の中を歩いていると、突如、足元でパキッと嫌な音が鳴りました。
「嗚呼…」
視線を落とした先に其れはありました。倒れて、割れて、粉々になってしまった姿見が。
外は嵐です。嵐の中、ただ壁に掛けてあっただけではこうなってしまっても無理はないのでしょう…
「可哀想に。」
大丈夫、今私があなたを直してあげるから_
『異能力__カガミ アソビ』
私の声に呼応して、床に散らばった破片達が1箇所に集まって鏡はすっかり元通り__になる筈でした。
ガクン、と私が床に手を着くのと同時に集まりかけた破片達もまた床に散らばります。
嗚呼…そうでしたね…
「私…今、体が__」
再び床に落ちた鏡の破片の中から、比較的大きなを1個手に持ち、私は今の自分の姿を確認します。
「はぁ…」
思わず大きな溜息を一つ。思った通り、体は縮んでしまっていました。これでは誰が見ても幼い少女にしか見えない筈。
どういうわけか、私は異能を使った後、時々こうして体が小さくなってしまうのです。そして、体が縮んでから暫くは思うように異能を使うことが出来ず、いつもより疲れやすくなったり、睡魔に抗うことが出来なくなったり等々…悪いこと尽くし。
" 異能については未だ解明されていない事象も多い_Aさんのそれも、その内の一つなのでしょうね… "
つい先日、久しぶりに会えた彼_安吾さんは、そんなことを云っていました。解明されていない事象…私の場合、其れが多すぎる気もしますが。
兎に角、異能も満足に使えない状態では現状、何も出来ませんね。此処には異能を使った末に辿り着いたわけで…帰る術も今のところ異能に頼るしかないでしょうし。
せめて、異能力が真面に使えるようになる迄は安静にして___
「うわああああああああああああああ!!!!」
……安静にしてましょう!無理はよくない!
え?気の所為です。気の所為ですよ。
男性の、それも如何にもピンチです!って感じの悲鳴なんて、私には一切聞こえてません。聞こえていないんだから仕方ない。それに今私は、幼くてか弱いただの少女なのです。行ったところで何も__
" 『人を救う側になれ_』 "
「……嗚呼、もう!!」
私は立ち上がり、悲鳴が聞こえた方へ走った。
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猫ノ栞(プロフ) - 嚠鸝邏さん» コメント&ご指摘ありがとうございます。非常にありがたいです。しっくり来るタイトルが浮かび次第この作品のタイトルを変更させて頂こうかと思います。 (2017年11月28日 8時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
嚠鸝邏 - ごめんなさい、指摘…なのでしょうか?タイトルに就てなのですが、amatoという作者様の、"異能力?いいえ、霊能力です"というものに大変似ておりまして…作成日時は此方の方が新しかったので…ごめんなさい。然し、物語はとても面白いです!更新頑張って下さいね! (2017年11月28日 0時) (レス) id: 4b796ea73d (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - 寝夢@影武者さん» コメント&評価ありがとうございます。この身に余る光栄です。楽しんでいただけたなら何よりです。これからも頑張らせていただきます。 (2017年11月25日 22時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@影武者(プロフ) - 評価100番目踏ませていただきました!着ぐるみシーンが吹き出すほど面白かったです…(爆笑)これからも更新頑張ってください! (2017年11月25日 21時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - ハイチュウさん» この身に余るお言葉ありがとうございます。拙い文章ではありますが少しでも素敵な絵に見合う作品が書けるよう努力させていただきます。 (2017年8月30日 19時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫ノ栞 | 作成日時:2016年10月23日 4時