No.41 ページ44
*
「はあああああ!!!」
地面に竿を思いっ切り叩きつける。
舞い上がった砂埃にヒソカがひるんだ。
そのスキに後ろから__
「ぅがっ……」
そんなオレの動きは全部読まれてたみたいで、まんまと首を鷲掴みされてしまう。
「ぐっ…ぅ」
ギリギリと首を締めあげる音がする。
「フフフ…」
そんなオレの様子を愉しそうにヒソカが見つめる。
「実にいい…♥」
足をばたつかせて抵抗したり、手を引き剥がそうと首を掴む手に爪をたてたりしてみる。
でも、ヒソカの腕はビクともしない。
「イイ顔だァ…♥」
そう言ってヒソカは笑みを深めるだけで腕の力を緩めてはくれない。
力がどんどん抜けていく。
ダメだ。もう、意識も__
『だから、云ったじゃないですか』
ふと、Aの声が聞こえた。
そうだね…でも、後悔はしてないよ。
クラピカは無事逃げられたみたいだし。レオリオはヒソカに殴られたきり、倒れたままだけどきっと大丈夫。
『必ず戻るんじゃなかったんですか。』
頭の中に響くAの声は少し不機嫌そう。
そっか。怒ってるよね。オレのこと。
ごめんね…A。約束は、守れそうに…ないや…
『……から』
え?
『だから、約束なんて嫌いなんですよ。』
Aの声が急にはっきり聞こえた瞬間、視界の端で何かが強烈に光った。
驚いたヒソカがオレの首から手を離す。
地面に手をついて咳き込んでるオレをよそに、ヒソカは何かを拾い上げ、まじまじとそれを見つめる。
「この手鏡、キミのかい?」
「 ! それ、は…」
Aがくれた“御守り”だ。足をばたつかせた時に落としまったのだろうか。
もしかして、さっき光ったのって__
「イイ鏡だね♥ ちょっとヒビが入っちゃってるけど、大事にしなよ♢」
キミを守ってくれたんだから★とオレに鏡を渡す。
「安心して?キミの仲間は殺しちゃいないよ♧彼は合格だから♥」
合格…?
「…うん!キミも合格♥いいハンターになりなよ♧」
そう言って、ヒソカは通信機で誰かと短い会話を交わした後「お互い持つべきものは仲間だね♥」とレオリオを担いで去って行った。
「ゴン!大丈夫か!?」
オレは駆けつけてくれたクラピカに肩を揺すられるまで、ヒビの入った鏡を握りしめながら、ただ呆然とヒソカが去った方向を見つめることしか出来なかった。
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猫ノ栞(プロフ) - 嚠鸝邏さん» コメント&ご指摘ありがとうございます。非常にありがたいです。しっくり来るタイトルが浮かび次第この作品のタイトルを変更させて頂こうかと思います。 (2017年11月28日 8時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
嚠鸝邏 - ごめんなさい、指摘…なのでしょうか?タイトルに就てなのですが、amatoという作者様の、"異能力?いいえ、霊能力です"というものに大変似ておりまして…作成日時は此方の方が新しかったので…ごめんなさい。然し、物語はとても面白いです!更新頑張って下さいね! (2017年11月28日 0時) (レス) id: 4b796ea73d (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - 寝夢@影武者さん» コメント&評価ありがとうございます。この身に余る光栄です。楽しんでいただけたなら何よりです。これからも頑張らせていただきます。 (2017年11月25日 22時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@影武者(プロフ) - 評価100番目踏ませていただきました!着ぐるみシーンが吹き出すほど面白かったです…(爆笑)これからも更新頑張ってください! (2017年11月25日 21時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - ハイチュウさん» この身に余るお言葉ありがとうございます。拙い文章ではありますが少しでも素敵な絵に見合う作品が書けるよう努力させていただきます。 (2017年8月30日 19時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫ノ栞 | 作成日時:2016年10月23日 4時