No.12 ページ14
*
くっくっく…
いやぁ今年のルーキーは豊作だねぇ。
あの金髪の青年の一撃は痛かった。
本当にあのグラサンの男がくらっていたらどうなっていたことか…
『ケガ人をたった一人の少女に任せてノコノコ現れるような奴だから殴った。それだけだ。』
カッコイイこと言うねえ最近の子は。
それにしても…
「流石に二発連続で殴られるとキツイねぇ。」
「思いっきり殴られてましたもんねー。流石の魔獣さんでもかなり痛かったんじゃないですか?」
「そうなんだよ〜…
危うく気を失うところだった__!?」
ハッとして振り向くと、そこにはレオリオとかいう奴と一緒に小屋に残ったはずの少女がニコニコしながら立っていた。
「…いつからそこに?」
「さあ。いつからでしょう?」
クスクスと笑う少女。そう。その姿は紛れもなく、あどけなさの残る少女そのものなのだ。だが、しかし…なんだ?この少女から感じる…違和感、だろうか?これは一体なんなんだ?
「あの、こちらからも質問していいですか?」
「あ、ああ…」
「良かったです。では…」
少女はそこで一旦言葉を区切り__
「貴方達夫婦のお眼鏡にかなうには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。ナビゲーターさん?」
彼女が言葉を発した瞬間、周りの温度が一気に下がったような気がした。その表情には先程までのあどけなさは一切残っていない。
誰だ。この子は一体誰なんだ。
そう思わずには居られなかった。
小屋で見た少女と、今目の前にいる少女とでは表情も、纏っている雰囲気もまるで別人のようだったから。
「…あ!御免なさい。脅かすつもりは無かったんです。」
少女がふわっと笑うと、周りの張り詰めた空気が一瞬で弛緩した。思わず、ほっと胸を撫で下ろす。
ようやく自由に呼吸することを許されたような気さえした。
「何故、分かった?」
「これもハンター試験の関門の一つとして仕組まれた舞台なんだろうなって気づいたんです。
魔獣に襲われていたのなら、小屋の外があんなに静かだったのは不自然ですし、襲われた直後なら、床に零れた珈琲や血痕が乾ききっているのはおかしいでしょう?
そして、それを演じているのは小屋に住んでいるというナビゲーターさんだろうなぁって。」
「キミは…」
「?」
「いや、なんでもない。」
この不思議な少女が一体どんな環境で生きてきて、今に至るかなど、想像も出来ないが…
「くっくっく…」
やはり今年のルーキーは豊作だ__
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猫ノ栞(プロフ) - 嚠鸝邏さん» コメント&ご指摘ありがとうございます。非常にありがたいです。しっくり来るタイトルが浮かび次第この作品のタイトルを変更させて頂こうかと思います。 (2017年11月28日 8時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
嚠鸝邏 - ごめんなさい、指摘…なのでしょうか?タイトルに就てなのですが、amatoという作者様の、"異能力?いいえ、霊能力です"というものに大変似ておりまして…作成日時は此方の方が新しかったので…ごめんなさい。然し、物語はとても面白いです!更新頑張って下さいね! (2017年11月28日 0時) (レス) id: 4b796ea73d (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - 寝夢@影武者さん» コメント&評価ありがとうございます。この身に余る光栄です。楽しんでいただけたなら何よりです。これからも頑張らせていただきます。 (2017年11月25日 22時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@影武者(プロフ) - 評価100番目踏ませていただきました!着ぐるみシーンが吹き出すほど面白かったです…(爆笑)これからも更新頑張ってください! (2017年11月25日 21時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
猫ノ栞(プロフ) - ハイチュウさん» この身に余るお言葉ありがとうございます。拙い文章ではありますが少しでも素敵な絵に見合う作品が書けるよう努力させていただきます。 (2017年8月30日 19時) (レス) id: 12fd2174b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫ノ栞 | 作成日時:2016年10月23日 4時