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#18 ページ18

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『くす、り…』









″くすり″









その単語だけで、

不穏な考えだけがよぎる。









「…クスリ」









繰り返すように、呟く。

卓さん俺も黙ったまま。









『…今、警察の人がきて、



話聞かれて、



家内捜査されて、





お父さんは、離婚するって言ったっきりでっ、









…もう、どうしたらいいかわかんなくて…!』







「っ、…!」









思わず、佐々木を抱きしめた。









もう言わんくてええから、






もう、抱え込まんでええから、









俺はお前の気持ちを担うことなんて

できないけど、









せめて、半分でも分かってやりたい。









「…辛かったなぁ、」









『……せんせ、…』









そっと頭を撫でる。









『…せんせ、こんな生徒でっ、ごめん…っ』








「なんでお前が謝んねん
…俺はめんどくさいなんて思ってへんよ、

…きっとこれからも思うことはない」









いつもより小さな背中を抱きしめる。




きっと、

その傷は生涯消えることは無い。









だけど、せめてこれだけは憶えていて欲しい。









「お前には、友達も、俺も、卓さんも

みんながついとるから






お前の味方やから」








『…っ、うん、っ』









「…佐々木は笑ってる方がよか」









そう言って卓さんは微笑み、

佐々木の頭をぐしゃぐしゃ、と撫でた。









『なか、しま先生、っ、…』









(解れた糸が、ひとつ増えた)









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作者名:めい | 作成日時:2017年12月16日 15時

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