絶.対.領.域 F7 (ページ1)

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「…おい、佐々木、また来たんか」

『あ、遥輝～！おかえり』

「遥輝って呼ぶなアホ
…センセイやろ」

約半年前くらいからだろうか。

…自分のクラスの生徒佐々木Aが俺の部屋に来るようになったのは。

「お前いつまでここ来んねん」

『ん～先生が結婚するまで？』

「はぁ？お前なぁ…」

『あ、今日時間無くてスーパー行けなくてさ～
冷蔵庫の残り物で作ったから』

「…おう、さんきゅ」

ことの発端は俺の余計なお世話からなのかも知れない。

彼女の体には不自然なアザがいくつかあった。

彼女は隠してるつもりでも

大人から見たらすぐに分かる。

それは教師の中でも話になった。

1番有力なのは

"虐待"

実はまだ佐々木の母親には会った事が無い。

どのような親なのかも、検討がつかない。

1回彼女に話を聞いたが

頑なに口を閉じた。

だから、真実はまだ真っ暗。

"なんかあったら頼ってくれてええから"

"じゃあ、たまに先生の家に逃げちゃおっかな笑"

苦笑いしながら言った彼女はあまりにも痛々しくて
冗談っぽく言ったつもりだろうけど
全然冗談には聞こえてこなかった。

むしろ、"助けて"って言ってるように聞こえた。

先生としてきっと入りすぎた、彼女の領域に。

だが、見逃すことは出来なかった。

"…え、これって"

"俺の家の合鍵"

"…ダメだよ、先生がこーゆーの渡しちゃ"

"そーゆー意味ちゃうから安心しろ

………来たいとき、いつでも来い"

それが、この関係の始まりだった。