隣の坂本さん (ページ29)

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なんでこんなことするんだろう…。

隣で寝てるさか…勇人くんを見て思う。

今どきの人は抱きしめるとか
好きでもない人にするのかな…

部屋に連れてくるのも

急に名前で呼ぶのも

抱きしめるのも

どういう意味でやっているの？

色々自惚れてしまう。

だけど、好きとか…

そういう言葉はまだ聞いていない。

だから期待するのは早い。

『…うぅ、だいぶがっちり掴んでる…』

寝てるのにこのパワー、って…

抱きしめられてる腕を見てみると

血管が浮き出て、あぁ男の人の腕だ、って
思った。

野球選手は筋肉から違うもんな～

寝顔が見たいけど、背中向きだから
見ることが出来ない。

み、みたい…

腕を優しく緩めて勇人くんの方を見ようとする。

なかなか、緩めてくれないし！

『おっ、ちょっと緩んだ』

そのスキに勇人くんの方を向く。

『わっ…』

向いた瞬間にぎゅってされた。

やばい、胸板に押し付けられてる。

でも、見るチャンス！

頭1個分上の顔を見るため、見上げる。

やっと、みれた。

『…可愛い、』

鼻とかつまんでみる。

苦しそうに顔をしかめてる。

『ふっ、…』

他にも頬とか優しくつねったり

髪の毛とか触ったり…っわっ、

「…人の顔触りすぎ」

『…お、、起きてたの、』

「そんだけ触られたら起きるわ、あほ」

『ご、ごめん、起こした』

「てか、なんでわざわざこっちむいてんの」

『…寝顔みたいなぁ、みたいな…』

「……胸当たってる」

『わぁっ！言わないでよっ！』

急いで背中を向けた。

そんなことわざわざ言わないで！

…………ほんとに恥ずかしい。

私、ぺったんこだし…

「照れとる？」

『…………そりゃ、恥ずかしいですよ』

「耳真っ赤やん」

『うぅ、…早く寝よ！』

「…起こしたくせに」

『…もう起こさないから』

とか言っちゃって

寝れないよ。

寝れない、

寝れな……、、

勇人くんに背中をぽんぽんされながら、

ゆっくりと、瞼を閉じた。