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『おはようございます…』



「おはよー…ってAちゃん!?
どうしたの、その目!!」




『…気にしないでくださーい』




よりによって1番バレたくないやつにバレた。
一つ上の先輩、速水さん。



「なになに、失恋?」



『違いますぅ』



「ほれ、言ってごらんなさい」



『速水さんだけには言いません』



「つーことはやっぱ恋愛だなぁ〜? バレバレだよ」



向かい合わせのデスクだから
離れようと思っても離れられない。

はぁ、変なとこ鋭いからな、速水さん。




『…早く仕事してください』




「よしじゃあ今日は俺の奢りで呑もうか」





あからさまに嫌そうな顔をして見ると
「ええ!?何そのため息!!」
って反応するところが面白い。



こんな先輩だけど
私が失敗したらカバーしてくれるし
いじっても仲良くしてくれる。



今みたいに、失恋って分かったら
忘れさせようと、飲みに誘ってくれる。




顔だって悪くないし
社内では人気なほうだし
結婚するには、いい人だけど、








____いってらっしゃい








まだ、私の中には"彼"がいる。






『〜っ…』






思い出すだけで


目には涙が溜まってきた。







「…Aちゃん、無理すんな」





『なにがですかっ…、』




やっぱり、速水さんにはバレバレなんだ。






·




·




·


「Aちゃーん、飲み過ぎ」



『そんなことないれすよぉ〜、あれ〜?坂本勇人だぁ!!』



随分酔っ払ってるAちゃんが、
居酒屋のテレビを指すもんだから見てみたら
野球の試合だ。



あれ、Aちゃんって野球好きだったっけ?





「ほんとだ、ありゃ負けてんね」



『坂本勇人はかーっこいい!!ほら!ほら!』



「うん、かっこいい」




まるで片思いの相手を見るような、そんな目でテレビをみてる。




「坂本のファンなの?」




『ファンっていうか〜、ん〜、とりあえず、かっこいい!優しくてぇ、背が高くてぇ〜、クシャって笑う所はもっと好きなんれすよ〜』




「優しいって、Aちゃん会ったことあるの?笑」



『……』





とうとう、眠ってしまった。

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作者名:めい | 作成日時:2017年7月9日 17時

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