いやよいやよも好きのうち【青】

10 ページ10

いやよいやよも好きのうち、とは。

口先では嫌と言っていても心の奥で恋心を抱いているかもしれない、という、男女の仲を表す語らしい。Gooxlx先生に教えてもらった。


へ。
ころん、もしかして、いや分かってたけど。

愛想尽かされたのかと思ってたけど家出したときもちゃんと私のこと好きだったの？いやいやいや。あのさ、


紛らわし！

なんで好きって表現できないのよ。
いや私も人のこと言えないけどさ。


「怪しい……」
「っわ！」
「怪しい人発見」
「何よ」
「何よじゃない！」

給油室でこっそりおにぎりを食べていたら、莉犬が眉間に皺を寄せて近づいてきた。ついでに言うとほっぺも抓ってくる。


「これ、やばいって、消しな」
そういいながらスマホの液晶画面を私の額にひたすら擦り付けてくる。はいはい、なんて面倒臭そうに返事してスマホを受け取ると。案の定、そこに写っていたのは私の匂わせインスタ。ていうか、いい加減私のかわいいほっぺ抓るのやめてもらっていいですかね。

「るぅちゃん……写ってるし」
「うん」
「文字も縦で読んでみたらるぅちゃん大好き、って……」
「うん」
「A死にたいの？」
「何その反応」

ガタガタと震えて顔色も青白い。
何かに怯えているように見える。

「いい？A、ころちゃんにそういうやり方で近づいちゃダメなんだってば」
「……どうして」
「精神的に殺されるよ」
「は？」
「マジで」

冗談みたいな発言だけど。

顔がガチだからな。小さい頃から莉犬のこの顔見てるし。近所の女の子の家が火事になっちゃったときとか、好きな女の子がクズ男に振り回されてるときとか、かなりやばいときに使い回しされる表情。

なんか怖くなってきた、けど。

ころんに殺されるなんて、天国じゃないか？

まさに夢心地だ。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す