いやよいやよも好きのうち【青】

４ ページ4

恋は盲目で、愛は相手を思いやる気持ち、らしい。それなら私がしているのは絶対恋だ。ころんが私の知らぬ間に他の女つくって浮気してたら容赦しないし泣きながらさとみくんに訴えてやる。


「盲目になったら終わり。また新しい恋を探すしかない」


上記、さとみの恋愛ゴロク。



確かに前よりは冷たくなったと思う。さとみくんの家に泊まりに行く回数多くなったのと付き合い始めた頃の初々しさと優しさがなくなっただけで、料理もしてくれるし掃除だって……あれ？


ころん、もしかして私の家政婦みたいなことしてないか？


朝起きて朝ごはん作るでしょ？そこから洗濯機回してーー、衣服を干す。そこから準備を色々して2人で会社へ向かう、、。



『ああ、私ころんに家政婦役やらせてたみたい。独り暮らししてた、って聞いたからつい任せちゃって……あぁ、』



膝から崩れ落ちて地面に手をつく。ごめん、ごめん、と呟いていたらお風呂から出てきたころんが冷蔵庫を開けてお水を飲みだした。つめたっー！とキンキンに冷えたペットボトルを片手に叫んで綺麗な高音が耳を通り抜けた。思わずうるさい、と言ってしまってしゅんとするころんが目に入る。



「あっ、ねぇドライヤーで髪乾かしてくんない？」
『ころんの？』
「うん。おねがい！」
『まあ、いいけど……』
「？」



そういうことは彼氏が彼女にやるものではないだろうか、という言葉は呑み込んで渡されたドライヤーを強く掴む。


おっも！ドライヤーってこんなに重いん？普段使わないから分からなかったけど、女子って大変だなあ。




いつものサラサラの髪が少しだけ濡れていて、ちょっとだけ。ほんとのちょっとだけかっこいい。水も滴るいい男、みたいな。



「僕、Aに髪乾かしてもらうの、好きなんだよねーー」
『はあ？』
「えぇ、そんな変なこと言ってないのにぃ」



冷たいのは、私の方？なんて。

５→←３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す