寄せ集め。 (ページ9)

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まぁそれでも何事もなくわたし達は高校３年生となった。

そこそこ偏差値は高かったけれど、家から近いという理由だけで選んだ高校。

特にこだわりがあった訳でもなかった。

だから彼もこの高校に行くと聞いた時は驚いて。

なぜってあの井上瑞稀だ。
多少距離があってももっといい高校へ行くんだろうと思っていたから。

でも彼なら環境がどうだろうと自分のものにしてしまうんだろうな、なんて勝手に納得した。

そしてとうとうクラスが同じになることは無いままこの校舎で過ごす生活も3年目に突入。

高校生になっても相変わらず、というか登校日数と比例するようにモテまくる彼をわたしはやはり、ひっそりと見ていた。

あーんなにちゃらんぽらんな橋本くんが3年になるまでここに居られているのはものすごく不思議だけど、どうやらテスト前に瑞稀くんになんとかしてもらっているらしい。

…なんとかってなんだ。

廊下で偶然会ったり、中学の時にたまーに話すことがあった高橋くんのインスタに映り込んだ様子をちらりと見たり。

何かが起こるようで起こるはずがない日々が当たり前だったから、何でもない顔をして彼とすれ違うことにもとっくに慣れていた。

あーあ、生物室ってなんでこんな遠いんだろ。
なんて3年目となる愚痴を心の中で垂れ流していると向かいから歩いてきた明らかな陽キャ集団。

出たよ、と思いつつもいつものように影を消して通り過ぎようとした。

涼「あ、」

なのに。

不意にこちらに向けられたような声に反射的に身体が動いた。

ふっと見上げるとそれは橋本くんで。

狙ったようにぴたりと合った視線。

綺麗な顔にほんの少しの笑みが浮かんでいた。

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