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翔「湧さぁ、」
いつものファミレス。
氷だらけのオレンジジュースにストローを突っ込んだまま、向かいに座った平塚が言う。
湧「………んだよ」
翔「そろそろ素直になれば」
定期的に言われるこの台詞。誤魔化すのは何回目だろうか。
湧「何年この感じでやって来てると思ってんだよ」
今更キャラ変とか無理。
そう続ければそんなことないでしょ、って。
それがあるんだよなぁ、そんなこと。
翔「もういっそ言っちゃえば。好きって」
湧「……バカなの？俺らアイドル」
翔「アイドルだからって恋しちゃいけない訳じゃないじゃん」
そう言う平塚の顔はやけに真剣で。
……やっぱ目でけぇなこいつ。
湧「あいつは、俺らの何倍もアイドルなんだよ」
Aが、人のこと好きとか嫌いとかそんなん考えてる暇ないぐらい仕事に明け暮れてることを俺らは知ってる。
それを思えば想いを伝えることなんて出来なかった。
というかその前に、俺の度胸がなかった。
あいつの仕事への熱意を言い訳にしてもう何年も逃げ続けてる俺は好きだなんて言う資格すらきっとない。
翔「あっそ、…じゃ雑誌で言う？ピンクのひらひらが好きで髪の毛くるくるで、意外と声が低いお姫様みたいな子がタイプですって」
湧「ファンに殺される」
翔「……Aが？」
湧「や、俺が」
だよねー、と面白そうに笑った。
絶対に笑い事じゃない。
湧「もういんだよ、別に」
翔「…そ。ならしーらない」
納得いってなさそうに返事をした平塚がほとんど水になったオレンジジュースをすすった。
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作者名：らら | 作成日時：2021年7月17日 13時
