寄せ集め。 (ページ33)

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煙草／こんぴページ33

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お風呂上がり。

そこにいるはずの彼の姿が見えなくて裸足のままぺたぺたと部屋の中を歩き回る。

伸びてきた髪の毛にタオルを乗せてベランダを覗くと光る金髪が揺れた。

『いた』

「あーもう来んなって」

『なんでよ』

出た、と言わんばかりの嫌そうな顔。
そんなの無視して駆け寄ると顔に向かってぶわっとタバコの煙が吐き出された。
白いそれが目に染みて、突然のことに思わず咳き込む。

『っねえ！』

「ふっ、ばーか」

ごほごほと顔を背けるわたしに楽しそうに笑った彼はタオルの上からぐしゃぐしゃに頭を撫でた。

「せめて髪ぐらい乾かしてから来いよ」

そう言うとそのまま雑に拭かれる頭。
来んな、なのか来い、なのか分かんないね。
ぐらぐら首が揺れるからじっとしてろって叩かれた。

彼、こと大輝くんとは付き合い始めてそろそろ一年が経つ。まともな仕事もしないままふらふらしてる彼を手放せなくて、ほぼヒモと化してしまったことを許してしまっているのは他でもないわたしだ。

週に数回、お昼はいつの間にかギターだけを抱えて居なくなり、帰って来るのは真夜中なこともあればちゃんとおかえりが聞こえる時もある。

何となく、で続いているこの関係。
もしかしたら俗に言うカップルとは少し違うのかもしれない。

『今日はどこ行ってたの？』

「ん、矢花んとこ」

とはいえ言いたくないことは特にないみたいで、
聞けば無愛想ながらも答えてくれる。

またなんか曲でも作ってんのかな。
彼の歌声に惚れ込んだあの日のことを思い出した。

『そっかぁ、矢花くん元気？』

「、知らね。どう見てもやべー見た目してっけど」

あんまり人に心を開かない彼にとってそう多くはないお友達のひとりである矢花くん。
あの子身体細すぎていつも心配になっちゃうんだよね、大丈夫かな。

そう思っているとほんの少し、彼の目付きが荒んだことに気付く。

絶対に他の人では分からないような変化をきちんと拾い上げられるようになった自分がちょっとだけ誇らしい。

『大輝くんもちゃんとご飯食べてね？』

そう見上げるとふっと目を逸らされた。

「気が向いたら、？」

『それ全然向かないやつ』

あんまり食に対する執着が無いらしい彼は平気で一食くらいなら抜いたりする。

でも美味しいものを食べた時の反応がすごくかわいいから好きなんだけどなぁ、って。どうやったら伝わるかな。

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